夫が3月17日都立松沢病院で、「アルツハイマー型認知症の初期」と診断されて
から満10年になった。「10年間は幸せな状態で介護して長生きして欲しい」と、固く
心に誓った願望は達成した。でも、コロナワクチンのため免疫力が落ちたのか「帯状疱疹」
(現在多発しているようだ)になった。帯状そのため体力が低下したため、訪問介護をお願い
したが、日曜日でも電話で相談に乗って下さるので、本当に良かったと思っている。
今でも時折痛がって、ほとんどベッドで寝ている夫に、毎日タオルで顔を蒸して、電気
カミソリでひげを剃るのも習慣になった。でも、気持ちよさそうな夫の顔を見ると
良かったと思うし少しも嫌ではない。
※イタリア
※オリエント急行の個室
結婚した頃の私は自分の言動に、毎日後悔や反省ばかりしていたが、大らかな夫は
「もう過ぎたことだし、考えたって仕方がないよ。これから注意すれば良いんだから」
とよく言ってくれた。神経質、天真爛漫、我がままで感受性も強く、超臆病、粗忽
さらに物音には過敏に反応する。20歳代の私はかなりエキセントリックだったが、(実
は今でもそうだ)でも、夫にいつもそう言われ続けると、「確かにそうだこれから注意す
すればよいのだ」と考えられるようになり、随分気持ちが楽になった。
細かいことは一切いわず、欲しい物のすべて与えてくれ、整理整頓が大の苦手な
のに、結婚して以来たったの一度も文句を言わない、私には大甘の夫だった。
家族にいくら不自由をさせなかったとは言え、海外での研修や、旅行などいつも
家にいなかったのに、只の一度も批判することなく、自由に私を泳がせてくれたこと
も本当に有難かった。それだけでも私は、夫を選んで結婚して良かったと思っている。
娘に「パパはママの保護者みたい」とか、「ママは私の妹みたい」インドの先生は
「エイジレスベービー」と言われたほど、幼児性が強いので、夫はそれが面白いらしく
何時もニヤニヤしていて、まるで父親のような存在だった。
冷静に介護できるのは、心理カウンセラーとしての知識と、私達夫婦の長い平和な
歴史のお陰だと思う。この4年間で友人や知人3人は認知症のご主人を、凄惨な
介護の末見送った。それに比較すると、私は「幸せな介護をしている」と、素直に思え
るのは、認知症歴が長い夫だけれど、そんな人間性を今でも尊敬できるからだ。
「幸せな状態でもう少し長生きして欲しい」と、つくづく思っているが、これからも
愛情をこめて、夫を見守っていきたいと思っている。
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