「あほリズム」
(144)
大阪の電車の中で中年の女性に席を譲った。すると、彼女は甚く
感激して大きなカバンからアメを取り出して私にくれた。
「お兄ちゃん、これ舐め」
「ありがとう。でも、噛んじゃいけないの?」
「かめへん、かめへん!」
(145)
大阪も画一化の波に逆らえず、古き良きことばも消えていく。
たとえば、かつて浪花千栄子が、
「まあ、ようお越しやしておくれやした」
などとアッサリ言うと、押しつけがましい大阪人の温かさが伝わっ
てきたものだが、しかし今では「あんじょう」言える人はいない。
(146)
台風12号がもたらした豪雨によって被害に遭われた和歌山県の
方々をお見舞い申し上げます。特に、亡くなられた方々を悼んで已
みません。さらに、ご家族の辛い悲しみに深くご同情いたします。
作品の一部に和歌山弁を取り上げたこともあってとても他人事
とは思えませんでした。
(つづく)