「9.11」

2011-09-11 15:14:52 | 「パラダイムシフト」
                 「9.11」




 あれからもう10年も経つのか、確か久米宏の「ニュースステー

ション」で中継を交えた放送を見て、アメリカで一体何が起こって

いるのかと思いながら、理性では理解できても実感が伴わなかった

ことだけは覚えている。今思い出すのは、何もあの日からアメリカ

がおかしくなったわけではないということだ。それよりも随分前の

新聞の小さな囲み記事に、サウジアラビアだったかに駐留するアメ

リカ軍の女性将校が基地での勤務を終えた外出時に女性にブルカの

着用を義務付けているのは、個人の自由を保障した「アメリカの」憲

法に反すると言ってアメリカの裁判所に訴えたことがあった。私は

よその国へ行った者がその国の習慣や決まりを受け入れることは至

極当たり前のことだと思っていたので、女性将校の身勝手な言い分

に唖然とした覚えがある。つまり、アメリカの絶対主義の横暴はず

っと以前から自分たちの文化以外の各国の伝統文化を認めず蔑(さげ

す)んできた。だから、イスラム文化の伝統を踏み躙られたことへの恨

みに苛まれたムスリムの中からウサマ・ビン・ラディンが現れたことは

それほど驚かなかった。アメリカ同盟国へのテロ行為はイスラム社会

に対する蹂躙への報復でありイスラム文化を守る為のジハード(聖戦)

なのだ。

 アメリカの覇権主義はソ連の崩壊によってその絶対性を得て、絶

対であるが故に省(かえり)みられることがなく独善的に振る舞い世

界を巻き込んで暴走してきた。しかし、米ソ二極化時代のアメリカ

はベトナム戦争の苦い屈辱から自省して社会を見つめ直し、そこで

は多様な新しい考えが生まれ多少虚無的ではあったが自由な文化が

花開いた。その頃、一方でソ連はアメリカの撤退をいいことに覇権

を拡げようとしてイスラム世界への軍事介入を試みたが、足元の自

国経済の破綻からあっけなく崩壊してしまった。我々はこのことか

ら言い古された言葉ではあるが次の教訓を忘れてはならない。

 つまり、「驕る者は久しからず」。

 いまや一極支配とはいえアメリカの経済は破たん寸前で、米国の

みならず日本はもとよりEUを始め先進各国も巨額の債務に苦しめ

られている。恐らくアメリカは国内経済を再建するために形振り構

わず行動してくることだろう。そして、それはかつて何度か経験し

た自国の産業を守るためのモンロー主義へと向かうに違いない。つ

まり、経済のグローバル化を推し進めてきた当のアメリカがグロー

バル経済から早々と撤退するのだ。そうなれば、一気に保護主義が

拡がり輸出に頼っていた国は破綻を免れないだろう。日本のことで

ある。もちろんそれを世界恐慌と言っても構わないが、我々は再び

次の教訓を思い出さなければならないかもしれない。

 つまり、「歴史は繰り返す」。



                                 (おわり)


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