「イギリスと日本の外交の差」
先日、イギリスのキャメロン首相は13日、「ミャンマーを訪れ、
最大都市ヤンゴンで民主化運動指導者アウンサンスーチー氏と会談
した。キャメロン氏は欧米がミャンマーに科してきた経済制裁につ
いて、同国における民主主義や人権の進展を促すためにも、制裁は
完全に解除せず、一時停止にとどめるべきとの考えを示した。また、
武器の禁輸については一時解除の対象とすべきでないと付け加えた。
一方、スーチー氏も制裁の一時停止はテインセイン大統領らが進め
る改革路線を認める一方で、改革が阻止された場合は再度制裁を科
すことを明確にするものだとし、制裁の一時停止を支持した。」
一方、野田総理は21日、「来日中のテイン・セイン・ミャンマ
ー大統領と会談し、過去の円借款供与などで同国向けに保有する約
5000億円の債権のうち3000億円強を段階的に放棄することで合意し
た。円借款債権の放棄額としては過去最大規模となる。これにより、
両国間の経済協力拡大で障害となってきた債務問題が決着した。 」
どちらもミャンマーの民主化を歓迎して支援を約束したのだが、
この対応の差こそが我が国の戦略なき思い付き外交を象徴して
いると思えてならない。私はミャンマーの軍事政権が易々と権力を
手放すとは努々思っていない。いずれ何らかの抵抗を示すに違い
ない。もしかすると再び紛争が起こることだってあるかもしれない。
そんな時に怠りなく民主化勢力と連携したイギリスの対応こそが、
民主化を支持すると言うメッセージをミャンマー国民に伝え、彼ら
を勇気付ける。一方、我が国は、その先の展開を考えもせずに、
一時的な友好ムードに流されて思い付きだけで決断する外交は一
向に改まっていない。それにしても、日本政府はかつて国民の意
志を踏み躙った国家元首などと会談する前に、民主化を後押しす
るのであれば何故スーチー女史との会談を先に求めなかったのだ
ろうか?民主化を望むミャンマー国民にとって、日本が軍事政権の
トップとの会談で巨額の債権を放棄したという合意は、誤ったメッセ
ージを、つまり、日本政府は僅かばかり開放しただけの軍事政権を
認めたというように受け取られはしないだろうか?恐らく、それらは
経済界の強い要望だったに違いないが、日本の拙速な援助が現政
権の成果となり、民主化の流れが挫かれるようなことにならないだろ
うか。
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