「あほリズム」
(703)
ニーチェによると、永遠の時間の中で世界が有限であるなら、世界
は同じことを永遠に何度も繰り返すと説き(永劫回帰説)、回帰は何もか
もが寸分の違いなくまったく同じように起こるというのだが(同じもの
の永遠なる回帰)、それは「再生までにはまだゆっくりできる、と汝ら
は思っている、――だが間違えてはいけない。意識の最後の瞬間と新
生の明け始めとの間には、〈少しの暇もない〉のだ。――それは電光
石火のように過ぎてしまう。たとえ生物たちはそれを幾兆年単位で測
り、あるいはそれでも測りきれないかも知れないが。知性が不在にな
れば、無時間性と継起とは両立しうるのだ。」(ニーチェ「手記資料」
122番(第12章66頁)
つまり、回帰(転生)は死んだ後〈少しの暇もな〉く起こると言う。