「あほリズム」(748)

2020-09-18 18:57:17 | アフォリズム(箴言)ではありません

         「あほリズム」

 

          (748)

 

 この国でもっとも既得権益に与っているのは政治家である。

既得権益を見直すのであれば、政治改革から始めなければなら

ない。まず「隗から始めよ」だ。つまり「政治改革なくして既

得権益の改革なし」である。

 

           (749)

 

 この国では、政治家だけが古よりの「前例主義」の下に「縦

割り」の派閥組織が「既得権益」に与かっているにもかかわら

ず、自らを省みずにそれらを改めなければならないと訴える。

 われわれ日本国民はそのような政治家に対して「お前が言う

な!」と、言う権利は憲法で保障されている。

 

           (750)

 

 「前例主義」「既得権益」「縦割り組織」、突き詰めれば、

それらはすべてこの国の政治に行き着く。

 

           (751)

 

 菅(すが)内閣で検索すると、菅(かん)直人内閣が出てくる。

 


「大政治家」

2020-09-17 02:45:15 | 従って、本来の「ブログ」

        「大政治家」

 

 以下は文芸評論家だった小林秀雄が戦後すぐに行なった講演を文

章にした「私の人生観」らの引用ですが、彼が私淑していたフラン

スの哲学者ベルグソンは政治についてこのように言ってます。

「ベルグソンが、晩年のある著作のなかで、これからの世にも大芸

術家、大科学者が生まれるかも知れないが、大政治家というものは、

もう生まれまい、と言っております。つまり政治は、現在すでに大

政治家などいよいよ必要としない傾向をたどっているというのです」

そして「政治の仕事が国際化して、いよいよ複雑なものになると、

その取り扱う厖大な材料に関する正確な知識などは、どんな政治専

門家の手にも余る。」「そこで、どうしても政治の仕事には、組織

化というものが必要になってくる、組織化とは機械化を意味します。

イデオロギイの上で相反目する党派も、組織化された集団という一

種のメカニズムの力で、仕事の能率を上げようとする傾向では歩調

を合わせております」そして「政治家は、社会の物質的生活の調整

をもっぱら目的とする技術家である、精神生活の深いところなどに

干渉する技能も権限もないことを悟るべきだ。」と言うのです。

 これは、国民から選ばれたトランプ大統領であっても、二階の上

から指名された総理大臣であっても、自らの政治判断で組織化され

た政治メカニズムを変えることなどできない、と言うのです。これ

まで、この政治メカニズムを無視して独自の政治理念によって社会

を変えようとした人物は、わが国では鳩山由紀夫元総理を措いてひ

とりも居なかった。彼はそれまでの日米合意を無視して沖縄の米軍

基地の移設を最低でも県外にすると言いました。おそらく彼はトラ

ンプ大統領を超える大政治家になれたかもしれないのですが、ベル

グソンンが言うように、現代では一人の政治家が前例化した政治メ

カニズムを変えることなど到底できないのです。たとえば、安倍総

理は自らの政治信条である憲法改正をどれほど強固に訴えても、戦

後何十年もの間築き上げられた政治メカニズムを変えることなどで

きなかった。それを改めさせるのはおそらく他国からの一発の銃弾

かもしれませんが。それ以外にも安倍元総理はさまざまな政治改革

を取り上げましたが、一丁目一番地であるアベノミクスの2%のイ

ンフレターゲットでさえ達成されませんでした。

 ところで、この度、新しく総理大臣になった菅義偉氏ですが、一

方では安倍政治の継承を表明し、また一方では前例主義の見直しを

掲げています。そもそも安倍政治の継承は前例主義には当らないの

でしょうか。前例主義には既得権益が巣食い、既得権益を守るため

に縦割り行政が蔓延っていたのではなかったのか。彼は安倍政治を

継承するのか、それとも前例主義を踏襲しないのか、いったいどち

なのか。しかし、ベルグソンが言うように、すでに一人の政治家

が政治を改めることなどできなのです。


「あほリズム」(745)~(747)

2020-09-16 02:05:58 | アフォリズム(箴言)ではありません

          「あほリズム」

 

           (745)

 

 アメリカ白人社会の黒人に対する差別を見ていると、とても「均

しからざるを患う」共生社会の実現は不可能のように思える。

 もしかすれば、アメリカ人の反共産主義の原点は黒人差別なのか

もしれない。つまり、「奴らと一緒になんかなりたくない」

 

            (746)

 

 だとすれば、何もそれはアメリカだけの話ではないはずだ。多民

族国家では人種差別問題が共生社会の障害になっているとすれば、

社会主義国家を掲げる中国もまた決して表沙汰にはしたがらないが、

人種差別こそが社会主義体制の障害として被差別民族の迫害や隔離、

或は虐待さえも行なっている。つまり、中国もアメリカも体制は異

なるが同じ人種問題に手を焼いている。

 

             (747)

 

 かつてキリスト教徒から人種差別を受けていたユダヤ人たちは、

ナチス・ドイツによるホロコーストから遁れるために大勢の人が

新大陸アメリカに亡命した。にもかかわらず、彼らはアメリカで

目にする黒人差別に対してあまりにも他人事ではないか。それど

ころか、彼らは人種差別主義者であるトランプ大統領を支持して、

身内にユダヤ人の居るトランプ大統領は彼らの祖国イスラエル寄

りの政策を強引に推し進めている。こんなことを言うと顰蹙を買

うかもしれないが、もしも、トランプ大統領の愛娘が「金持ちの」

黒人男性と結婚していたら、それでも黒人差別に無関心でいられ

るのだろうか?つまり、人種差別を思い止まらせるためには人種

を超えた「愛」が必要なのだ。

 


「あほリズム」(744)

2020-09-15 07:51:39 | アフォリズム(箴言)ではありません

          「あほリズム」

 

            (744)

 

 最近の株式市場の相場を見ていると、会社の業績に下から支えら

れているというよりも、コロナ禍による実体経済の悪化さえも関係

なしに、投資家たちの「欲望」の横の繋がりだけでまるで積乱雲の

ように高止まりしている。だから、たぶん会社が倒産しても株式だ

けは売買されるに違いない。コロナ禍の最中でも株価が上昇するっ

ていったいどういうわけだ。

 ただ、かつて、スペイン風邪(1918年~1920年)のパンデミ

ックのあとに世界大恐慌(1929年)が起こったことを忘れてはなら

ない、そして時代のサイクルが加速していることも決して忘れてはな

らない。

 上昇した積乱雲はわずかな温度変化で豪雨となって落ちて来る。


ハイデガー「存在と時間」上・下(12)のつづき

2020-09-15 03:29:08 | 「ハイデガーへの回帰」

           ハイデガー「存在と時間」上・下

 

             (12)のつづき

 

 ただ、私は木田元氏の感想ではなく、ハイデガー本人の言葉として、

「世界を〈存在=生成=自然〉の存在概念によって、〈存在=現前性

=被制作性〉による人間中心主義的文化をくつがえそうと企てた」と

いうような言質を得たかったので、さらに、ハイデガーの本「技術と

は何だろうか」(講談社学術文庫)を取り寄せて読むことにした。彼の書

籍は主に講演を書き残したものがほとんどで、それでも全集は実に10

0巻を超えるほどの浩瀚なもので、とても全てを読むわけにはいかない

が、おそらく〈企て〉に近いことが書かれていると思われる後期の本を

選んだ。近代文明の限界を訴える私にとっては、ハイデガーが「人間を

本来性に立ちかえらせ、本来的時間性にもとづく新たな存在概念、おそ

らくは〈存在=生成〉という存在概念を構成し、もう一度自然を生きて

生成するものと見るような自然観を復権することによって、明らかにゆ

きづまりにきている近代ヨーロッパの人間中心主義的文化をくつがえそ

うと企てていた」(木田元「ハイデガーの思想」)ことを、どうしても自

分の目で確かめたかった。何故かと言えば、これも木田元氏の本からだ

が、「では、この形而上学の時代、存在忘却の時代に、われわれはなに

をなしうるのか。失われた存在を追想しつつ待つことだけ、と後期のハ

イデガーは考えていたようである。」(同書) それでは、ハイデガーはい

ったい何を待つことだけだと考えていたのだろうか? たぶんそれは人間

中心主義的文化の限界に違いない。だとすれば、それは環境問題が限界

に達した今この時を措いてほかにない、と思うからです。

                           (つづく)