ドアホンが鳴った。
モニター画面には見慣れない爺ちゃんが映っている。
爺ちゃんはホガホガと何やら話しているようだが、何を言っているのやらほぼ聞き取れない。
それでも、どうやら、「電気メーター」とか「見に来ました」とかの単語が聞き取れた。
どうもアヤシそうでホントなら対応したくないが、たまたまつい5分ほど前に家の外に出た時に、それらしき道具を積んだホンダスーパーカブが斜め向かいの家の前に停まっていたて、その家から話し声が漏れていたので、ドアを開けて出てみると『〇西〇気〇安〇会』の制服を着た爺ちゃんが立っていた。
爺ちゃんは、マスクを鼻と口からずらして喉のあたりまで下げていて、まさしく絵に書いたような対策ばっちりの姿だった。
せっかく邪魔なマスクを下げているのにどうしてこんなにホガホガと喋るのだろうかと不思議でしかたないのだが、とにかく電気メーターの点検らしい事を言うので、点検してもらう事にする。
とは言ってもやはり、なんとなくアヤシい気配も感じるので、車庫の外にある電気メーターの点検を始めた爺ちゃんからできるだけ距離を取って、ワタクシも外に出て立ち会ってみた。
点検といっても、全体的にモタモタする動作で電気メーターの外蓋を外してどっかのスイッチを見てモタモタする動作で外蓋を元に戻しただけで、すぐに終了した。
マスクで喉のあたりを保護したまま、何やらチラシめいた紙切れにスタンプを押して渡してくれた。
どうやら間違いなく『〇西〇気〇安〇会』の点検だったらしい。