【2011年5月19日】 MOVIX京都
ナタリー・ポートマン主演のバレエをモチーフにした映画。チャイコフスキーのバレエ「白鳥の湖」の主役をめぐるプリマドンナの葛藤を描いているが、主題が明確でなく中途半端で、結局何を言いたいのかわからず、見終わったあともすっきりしない。
結局のところ、主役に抜擢されたことによる重圧からくる妄想を描いたものなのか、それとも舞台裏の取引のいやらしさを描いたものなのか。
ナタリー・ポートマンのトォー・シューズをつけての熱演や劇場での場面の緊迫感には見とれたが、ホラー映画的な奇抜な効果をねらった演出には感心しない。ただ、後味の悪さだけが残るだけである。
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以前、「ピアニスト」という映画があった。今回の映画「ブラック・スワン」の主人公の母親のように英才教育で、修道女のように外の世界から隔絶されて厳格に育てられた女性ピアニストが、別の世界を知り、生きていくべき方向を見失い、衝撃的な最期を迎える映画を思い出した。
何事についても、トップの座を得る-そして守るということは大変なエネルギーを必要とし、そこには大きなストレスが生じるが、それを如何に前に進む力に転化できるかという疑問に対する、映画作者の回答の表現方法に疑問を感じる。
『ブラック・スワン』-公式サイト