この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「玲玲の電影日記」-映画好きにはたまらない映画

2006-07-23 23:46:19 | 最近見た映画
 2006年7月23日 「京都シネマ」
 
 物語の昔の部分のはじめは、毛沢東主義が闊歩し文革の嵐が地方にも及び、北京では劉少奇などの「進歩派」や知識人が走資派として批判の対象となり「思想改造」を受けるような時代背景で、「芙蓉鎮」(謝晋監督、中国映画)と共通のものがある。幼少期から少年時代の生き生きとした描写、子役の自然な演技は「フェーン・チャン」(タイ映画)を思い起こす。そして、映画が好きで好きでたまらない主人公達。「ニュー・シネマ・パラダイス」や日本の映画でいうと「虹をつかむ男」の世界そのものである。自然描写の美しさも、女性監督の感性の鋭さが光っている。

 冒頭、水を入れた大きなタンクのようなボトルを2つ自転車に積んで、よろよろと自動車をかき分け街を走る青年をスクリーンで観たとき思わず、「ラブソング」(ピーター・チャン監督、香港映画)のシウクアンではないかと思ってしまった。いい映画の予感がした。
 その青年が、映画館に行く道を焦るあまり事故を起こしてしまう。煉瓦の山に突っ込み怪我をした上に、そばにいた少女に思いきり煉瓦で頭をたたかれてしまう。
 ここから、謎解きのような物語が始まる。

 「どうして自分が煉瓦でなぐられなければならなかったのか。」

 理由を明かさないどころか、一言もしゃべらない少女が1枚のメモを渡し、部屋の鍵を預ける。メモには「金魚に餌をやって」と書かれている。部屋を尋ねると、そこは映画一色の世界。フィルムや映写機、スクリーン、その他ポスターや映画関連の小道具であふれ返った部屋で1つの日記帳を見つける。そこに少女のつらい過去と秘密が隠されていた。

 少女の母は、その昔地方の小さな町で女優になることを夢見ていた。仕事は組織の広報で、有線放送のアナウンスを流す役割を担い、他の労働者からうらやましがられる存在だったが、ある日幹部と恋に落ちる。子供ができると解ると、相手は逃げてしまい、また別の日に放送で失敗をしてしまう。地方にも「文革」の波が押し寄せており文化統制も厳しくなっている折、体調の不具合から手違いで禁じられた昔の曲を流してしまう。女優になる夢も絶たれ栄誉ある職も奪われ、洗濯婦として娘と二人で細々とした生活が始まる。

 母子の生活を励ましたのは、村で野外映画を上映する青年だった。後に二人は結ばれるが、主人公にとってよくない出来事が2つ起こる。父の違う弟の誕生とよそからやって来た腕白小僧のいじめである。(続く)
 
 

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