『サンドイッチの年』 1987年 フランス制作
監督・脚色 ピエール・ブートロン
原作 セルジュ・レンツ
撮影 ドミニク・ブラバン
マックス ヴォイツェフ・プショニャック
ビクトール トマ・ラングマン
フィリックス ニコラ・ジロディ
映画の冒頭、パリ市内で起こったユダヤ人商店への襲撃事件のニュースに触れて、フェリックスは昔の出来事を思い出す。
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1947年7月、15歳の少年ヴィクトールは、預けられた田舎の街を抜け出し、戦後初めてパリに戻ってきた。地理に不案内な彼は地下鉄構内で困っていいたところ、伯父さんの仕事を手伝うためにパリに滞在していた金持ちの息子フェリックスと出会い、道順を教えられ話をするうちに、すっかり意気投合し、後日会う約束をする。
その日、彼の案内でかつて住んでいたアパートを訪ねるヴィクトールであったがそこにはもう彼の知る人は誰も住んでいなかった。
途方にくれて街を彷徨い歩いているうちに古物商の戸に貼られた求人広告を見つけ、行くあてのない彼は店主のマックス(ヴォイツェフ・プショニャック)に雇ってくれるように頼み込み、やがて屋根裏部屋に住み込みで店の手伝いをする事になった。
ヴィクトールは、おこりんぼで皮肉屋、一筋縄ではゆかない偏屈者・マックスと生活を共にすることになる。しかしユーモラスで傍若無人ぶりの行いの裏には温かい心と《秘密》が隠されていた。その複雑な人柄をもつマックスにあれやこれやと振り回されながら近所の個性的で世話焼きの人々の日常と、親友フェリックスとの心躍る出来事に満ちた楽しい休日の中で生活してゆくことになる。
ところがそんな時に、闇取引をしている少年ブブル(クローヴィス・コルニヤック)と接し、その取引の場に首を突っ込むことになった二人は、予期せぬ事件からフェリックスが大怪我をうけたことにより交流は破綻して、彼の家族から交際を禁じられてしまう。
すっかり落ち込んでしまうヴィクトールに、マックスは静かに穏やかに、そして優しく温かく彼をなぐさめるのだった。
最後のシーンが圧巻だ。珠玉の言葉がちりばめられる。
『今年は色々辛かっただろうが、人生に5度や6度はこんな事がある。残りは何てことはない日々の連続さ。今年のような年は、ハムの薄切れのようなものだ。
二枚の厚いパンの間に挟まって。つまりーーサンドイッチの年だ。そういう時はよく噛み締めなきゃならん。カラシが一杯で涙が出ても、全部食べなきゃ
ならんのだ。』
『大人は夜中に泣かないなんて思ったら間違いだ。涙も人を作るんだ。』
『神を信じてる?』 『神がいったい自分たちに何をしてくれた!』
『「ローソクは?』 『思い出を照らす。思い出と、今は亡き人の栄光を』
だれの人生にも“サンドイッチの年”がある。人生の中で最も中味の濃い時期、噛めば噛むほどに味わい深くなる人生のちょうどつなぎの年、ヴィクトールにとって今がその“サンドイッチの年”なのだ、と……。
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ラジオで襲撃事件を知ったフィリックは、一瞬戸惑いを見せた後に『彼にはもう手助けは必要ない-自らの力で切り開いていける』と確信する。
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この映画や《ユダヤ人虐待》《ホロコースト》の映画を見た後、【いったい今のイスラエルはどうなんだ】といつも思う。
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