【橋下『維新の会』がやりたいこと】 石川 康宏著 2012年 新日本出版刊
小森陽一郎著『橋下「維新の会」の手口を読み解く』の姉妹編といえる内容である。
第1章は『大阪府知事時代の「実績」は』ということで、革新的なポーズとは裏腹に、どんなことをしてきたか明らかにしている。
『大阪府は破産会社』『みなさんは破産会社の従業員』といって知事として初登庁した時に府幹部職員に檄を飛ばし、さらに『・・意気込みのない職員は去って欲しい』といったのは有名な話。
知事時代に実績として挙げる府財政の《黒字》のは、以下の『住民サービスの切り捨て』と国からの交付金の増加・借入金の増大が主な内容という。(P-7~10)
【住民切り捨ての主な内訳】
(1)府立5病院への補助削減 (2)救急救命センターなどへの補助削減 (3)地震関連の11事業費削減 (4)障害者・福祉8団体への補助削減 (5)学校警備員補助の廃止 (6)中小企業振興費の削減 (7)商業振興費の削減 (8)農業費の削減 (9)『ピースおおさか』補助金削減 等々・・。
それらの理由づけとして『府は産業育成に特化し、住民サービスは市町村に移行していく。』としているが(これ自体むちゃくちゃな論理だが)、これがいかにでたらめな言い訳か、後に大阪市長に橋本市長が自ら証明していくことになる。
一言でいえば、『住民生活を犠牲にして、大企業の為の大型開発を進めた』という事である。それが成功したらまだしも、結果としては無駄使いに終わり、その1つ、買収したWTC(大阪ワールドトレードセンター)は空室率が50%から20%まで低下しているというが、その後始末が手に負えなくなって、市長に《鞍替え》したと言えなくもない。
第2章は『大阪市長になってやっていること』で、上の発言とは裏腹に、市民サービスの切り捨てである。
『お年寄りの敬老パスのを有料化する、上下水道料金の福祉減免を廃止する、国民健康保険料の見直しをしていく、学童保育事業の補助金を廃止する、大阪フィルハーモニーと文楽協会への運営補助金を廃止・削減する、など・・』を提案していて、いくつかは実現させ、他の案も《自分の意に沿ぐわないモノには金を出さない》とうスタンスは明確であり、《予算の私物化》である。(「文楽協会」との《話し合い》は記憶に新しいと思う。)
小泉元首相も顔負けの福祉切り捨てや民営化路線を突っ走る橋下市長のさらに怖い面は、その手法を『ハシズム』と呼ばしめた管理統制嗜好だ。
『選挙にかったのだから民意はいつでも自分あるのだ』から『「白紙委任状」を得ている』(P-18)ように振る舞っている。
『教育基本条例』『職員基本条例』に端的にその姿勢が表れており、《独善》の上に立ち《競争》を原理とする《強制と恫喝の政治》以外の何物でもない。
大企業向けの『構造改革路線』・『民営化路線』で真っ先にしたことは『大阪市営地下鉄の民営化の指示』である。(P-22)
さらに、驚くべきことは《憲法無視》の『職員アンケート』(思想調査)の実施だ。また、『市役所の中には、「告発文書受付制度」というものがつくられ』(P-28)職員を互いに監視させ密告を奨励するような、戦前の日本かロシアかどこかの国のようなことをさせようとしている。
第3章は『この国の行き詰まり-「橋下人気」の背景』と題して、橋下『維新の会』がマスコミや若者に持ち上げられる《理由》が述べられている。
鳩山首相から始まった民主党政治の《ていたらく》は目に余るものだある。自民党以上の悪政を平然とやってのけるまでに成り下がってしまった。本当に、野田首相の顔を見るだけで《むなくそ》悪くなる。
かといって、自民党に肩入れするつもりは毛頭ない。総裁選に出てくるのは《ゾンビ》と《化け物》と《ペテン師》だけだ。
もともと自民と民主は『同じ穴のムジナ』なのだ。その辺の事情が、本書には的確に書かれている。『日本経団連』等の経済団体の内幕を系統的に調べてきた著者だけあって、さすがである。本書36ページから45ページの記述は、財界の2大政党作りと、《はからずも》民主党政権が出来てしまったいきさつがよくわかる。
しかし、財界がもくろむ『二大政党制』の枠組みに納まりきらないのものも国民の実感ではないだろうか。『消費税』を見ても『オスプレイの沖縄配備・普天間の基地移転』を見ても『原発』の問題を見ても、あの『総裁選挙』、『党代表選挙』の顔ぶれを見ただけで、自民・民主では解決できないと皆思っているはずだ。
こんな状況のもとで、『維新の会』が全国制覇に乗り出すといったら、マスコミも飛びつかないわけにはいかない、というのが現状である。
だが、『維新の会』もそれに取って代わる政策を持っているわけではなく、独裁的手法で《二番煎じ》をたてるだけだが、その辺の説明は後の章で出てくる。
テレビ等を見ていると、こんな状況の中でも、『自民』か『民主』かあるいは《その合同》か『維新の会』かそれしか選択肢が無いような世論調査の報道である。
どう転んでも、右よりの選択肢か無いようなマスコミの報道が、庶民をより出口のない閉塞状況に追い込む。
それを『何とかしないといけない』というのが後半のテーマである。
主な項目
(第4章以降は【その2】に記述)
(長くなったので、後半は別立てで改めて投稿することにします。)
【つづく】
『橋下「維新の会」がやりたいこと』(その2)のページにジャンプ
『橋下「維新の会」の手口を読み解く』-のページにジャンプ
『橋下主義(ハシズム)を許すな!』-のページにジャンプ
小森陽一郎著『橋下「維新の会」の手口を読み解く』の姉妹編といえる内容である。
第1章は『大阪府知事時代の「実績」は』ということで、革新的なポーズとは裏腹に、どんなことをしてきたか明らかにしている。
『大阪府は破産会社』『みなさんは破産会社の従業員』といって知事として初登庁した時に府幹部職員に檄を飛ばし、さらに『・・意気込みのない職員は去って欲しい』といったのは有名な話。
知事時代に実績として挙げる府財政の《黒字》のは、以下の『住民サービスの切り捨て』と国からの交付金の増加・借入金の増大が主な内容という。(P-7~10)
【住民切り捨ての主な内訳】
(1)府立5病院への補助削減 (2)救急救命センターなどへの補助削減 (3)地震関連の11事業費削減 (4)障害者・福祉8団体への補助削減 (5)学校警備員補助の廃止 (6)中小企業振興費の削減 (7)商業振興費の削減 (8)農業費の削減 (9)『ピースおおさか』補助金削減 等々・・。
それらの理由づけとして『府は産業育成に特化し、住民サービスは市町村に移行していく。』としているが(これ自体むちゃくちゃな論理だが)、これがいかにでたらめな言い訳か、後に大阪市長に橋本市長が自ら証明していくことになる。
一言でいえば、『住民生活を犠牲にして、大企業の為の大型開発を進めた』という事である。それが成功したらまだしも、結果としては無駄使いに終わり、その1つ、買収したWTC(大阪ワールドトレードセンター)は空室率が50%から20%まで低下しているというが、その後始末が手に負えなくなって、市長に《鞍替え》したと言えなくもない。
第2章は『大阪市長になってやっていること』で、上の発言とは裏腹に、市民サービスの切り捨てである。
『お年寄りの敬老パスのを有料化する、上下水道料金の福祉減免を廃止する、国民健康保険料の見直しをしていく、学童保育事業の補助金を廃止する、大阪フィルハーモニーと文楽協会への運営補助金を廃止・削減する、など・・』を提案していて、いくつかは実現させ、他の案も《自分の意に沿ぐわないモノには金を出さない》とうスタンスは明確であり、《予算の私物化》である。(「文楽協会」との《話し合い》は記憶に新しいと思う。)
小泉元首相も顔負けの福祉切り捨てや民営化路線を突っ走る橋下市長のさらに怖い面は、その手法を『ハシズム』と呼ばしめた管理統制嗜好だ。
『選挙にかったのだから民意はいつでも自分あるのだ』から『「白紙委任状」を得ている』(P-18)ように振る舞っている。
『教育基本条例』『職員基本条例』に端的にその姿勢が表れており、《独善》の上に立ち《競争》を原理とする《強制と恫喝の政治》以外の何物でもない。
大企業向けの『構造改革路線』・『民営化路線』で真っ先にしたことは『大阪市営地下鉄の民営化の指示』である。(P-22)
さらに、驚くべきことは《憲法無視》の『職員アンケート』(思想調査)の実施だ。また、『市役所の中には、「告発文書受付制度」というものがつくられ』(P-28)職員を互いに監視させ密告を奨励するような、戦前の日本かロシアかどこかの国のようなことをさせようとしている。
第3章は『この国の行き詰まり-「橋下人気」の背景』と題して、橋下『維新の会』がマスコミや若者に持ち上げられる《理由》が述べられている。
鳩山首相から始まった民主党政治の《ていたらく》は目に余るものだある。自民党以上の悪政を平然とやってのけるまでに成り下がってしまった。本当に、野田首相の顔を見るだけで《むなくそ》悪くなる。
かといって、自民党に肩入れするつもりは毛頭ない。総裁選に出てくるのは《ゾンビ》と《化け物》と《ペテン師》だけだ。
もともと自民と民主は『同じ穴のムジナ』なのだ。その辺の事情が、本書には的確に書かれている。『日本経団連』等の経済団体の内幕を系統的に調べてきた著者だけあって、さすがである。本書36ページから45ページの記述は、財界の2大政党作りと、《はからずも》民主党政権が出来てしまったいきさつがよくわかる。
しかし、財界がもくろむ『二大政党制』の枠組みに納まりきらないのものも国民の実感ではないだろうか。『消費税』を見ても『オスプレイの沖縄配備・普天間の基地移転』を見ても『原発』の問題を見ても、あの『総裁選挙』、『党代表選挙』の顔ぶれを見ただけで、自民・民主では解決できないと皆思っているはずだ。
こんな状況のもとで、『維新の会』が全国制覇に乗り出すといったら、マスコミも飛びつかないわけにはいかない、というのが現状である。
だが、『維新の会』もそれに取って代わる政策を持っているわけではなく、独裁的手法で《二番煎じ》をたてるだけだが、その辺の説明は後の章で出てくる。
テレビ等を見ていると、こんな状況の中でも、『自民』か『民主』かあるいは《その合同》か『維新の会』かそれしか選択肢が無いような世論調査の報道である。
どう転んでも、右よりの選択肢か無いようなマスコミの報道が、庶民をより出口のない閉塞状況に追い込む。
それを『何とかしないといけない』というのが後半のテーマである。
主な項目
(第4章以降は【その2】に記述)
(長くなったので、後半は別立てで改めて投稿することにします。)
【つづく】
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