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『橋下「維新の会」がやりたいこと』-民主・自民の泥仕合の中、何のための国政進出かを見極める(その2)

2012-10-14 16:19:09 | 最近読んだ本・感想


          
     【橋下『維新の会』がやりたいこと】 石川 康宏著 (その2)

           主な項目
           
              (第1章~3章は【その1】に記述)


 第4章は、『転換しなければならないものは』と題して、民主党の変節と野田内閣の『税と社会保障の一体改革』に焦点をあて、その財界優遇・迎合ぶりを暴露している。
 
 この章が、【橋下『維新の会』のしようとしていること】とどのような関連で、置かれているかと言えば、『いかに今の政治がでたらめで庶民の怒りを買っているか』ということと、その怒りの受け皿ともくろむ『維新の会』の政策が、【自民・民主両党と同じかそれ以上の、大企業本意の政策を持っていること】を明らかにするためである。


 今年の6月29日に自民・公明との取引合意で『消費税増税』法案が可決されたが、この問題にしても、『原発再稼働の問題』にしても国民の過半数は反対しているにもかかわらず、その意見が【無視】されているところに、今の日本の政治状況の混迷さが現れている。


        

 【上のグラフ(資料2)から、前回『消費税』を値上げして以降、『所得税』が落ち込んだことと、法人税値下げとの落ち込みの様子が見て取れる】



 『消費税増税』がいかに、《財政を立て直す》という観点からも《税を公平に分担する》という点からも間違っているかということは、『消費税の大ウソ』や『消費税が日本をダメにする』にも詳しいが、本書にもここに紹介した以外、わかりやすい図表とともに説明されている。



        

 【上のグラフ(資料4)から、所得1億円以上の人から急激に『株式譲渡益』『利子所得』『株式配当』などの《不労所得》の割合が急激に増えていて、逆に『所得税負担率』は26.5%を最高に、《所得が増えるほど税負担率が減っている》という《信じられないこと》があることが分かる。
 ちなみに、証券優遇税制』による課税率は以前20%のものが2003年から10%に下げられたことが大きい。(庶民の《雀の涙》ほどの利子に20%の税がかけられているのに!)】




 消費税を増税する意図は、法人税減税や高額所得者の優遇減税(累進課税の税率逓減・証券優遇税制等)によって減った財源を穴埋めするものである。しかし意図とは別に、個人消費が落ち込みさらに全体としての税収が落ち込むことは目に見えている。



 これを《不退転の覚悟で、政治生命を賭けて》実行すると言った野田首相は、庶民を切り捨てる《確信犯》であると同時に、経済の《いろは》さえ分からない(理解しようとしない)《大馬鹿》である。

 
        


 消費税を、『財政を立て直すため』というのもウソであるし、『社会保障費に当てる』というのもウソである。
 年金支給額の削減や支給開始年齢の引き上げ、医療費の負担引き上げ、『労働者派遣法』、『障害者自立支援法』『後期高齢者医療保険制度』等の、《改正》とは名ばかりの《悪法の放置・継続》。

 原発事故の原因究明も出来ておらず、傷跡がまだまだ生々しく残っている時期の『事故収束宣言』を平気で言ってのける首相の言葉を誰が信じるというのか。


 つづく第5章では、『「維新八策」で日本はどうなる』かであるが、橋下市長は国政に進出するにあたって、野田首相を《実行力のある人だ》と持ち上げ、既成政党から『維新の会』への《鞍替え》希望の議員をかき集め、第4章で挙げた【転換しなければならないこと】を変えていくどころか、更に徹底して同じ道を進もうとしていることが、その基本政策というか、維新の会の理念と言うべき『維新八策』の内容に沿って、述べられている。

 その項目は、『(1)統治機構の作り直し(2)財政・行政改革(3)公務員制度改革(4)教育改革(5)社会保障制度(6)経済政策・雇用政策・税制(7)外交・防衛(8)憲法改正』(P-79)となっている。

 (2)でも(3)でも(4)でもその基本姿勢は『大阪方式の徹底した・・・断行』、『大阪式公務員制度改革を国に広げる』、『大阪職員基本条例をさらに発展させる』とあるから、どんなものか想像はつく。
 (5)の『社会保障制度』は受益者負担が基本で、「社会保障は金で買え」(P-82)遠いことを意味する。小さな政府で、各自の責任でまかなえという『小泉行政改革』と同じ発想である。
(6)に関しても、『既得権益とたたかう』といって、徹底した規制緩和と民営化の市場原理主義嗜好で、いつかきいた台詞と《瓜二つ》である。

 (1)の目玉は、『道州制』の導入であるが、地方自治体の役割を否定し、一人に大きな土俵と大きな権限を持たせ、大企業が喜ぶ政治がしやすくするだけの話だ。

 関西広域連合がなし崩しに『大飯原発の再稼働』を容認したとき、橋下市長が大きな役割を果たした
のを見てもわかるように、原発に関しても完全な腰砕けである。
 改憲に関しても、日米同盟へのスタンス・アメリカへの従属姿勢も自民党と何ら代わりはしない。

 違いといえば、『民主主義をそぎ落とすことを平然と表明している点ぐらいです。』(P-96)



                             【つづく】




  【橋下『維新の会』がやりたいこと】 石川 康宏著 (その1)へジャンプ


  【橋下『維新の会』がやりたいこと】 石川 康宏著 (その3)へジャンプ



 
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  『橋下主義(ハシズム)を許すな!』-のページにジャンプ


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