【2011年8月14日】 京都シネマ
もったいをつけた退屈な映画である。
映像やそこに映るトスカーナの風景はきれいなのに、トーキーではあるまいし、役者がせりふを全くといっていいほどしゃべらないのである。解説がましく役者が饒舌にしゃべり捲るのもどうかと思うが、映画は総合芸術である。しぐさや微妙な表情でしか表わせない部分もあるし、逆に巧みな会話や、思慮深い、あるいは論理的な言葉でないと表現できないこともある。
曲も単調で退屈である。
プッチーニはそんなに好みではないが、作曲家の映画なのだからもう少し音楽を期待していたのに、ピアノの音が無味乾燥に響くだけ。
前宣伝のチラシには以下のような文字が並ぶ、
『ラ・ボエーム』『トスカ』『蝶々夫人』・・・
美しき旋律にこめられた偉人への思い
プチーニの秘密の愛をめぐる物語の、幕が上がる---
そして
今、解き明かされる
もう一つの
真実。
と。
映画を見る限り、そんなものは何も浮かんでこない。
『ドーリア・マンフレディ事件』を扱った映画となっていて、公式サイトを見れば、それなりの背景が分かるが、映画自体からは、何も得られない。
もったいをつけた、こういう映画は嫌いである。
『プッチーニの愛人』-公式サイト