この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「約束の旅路」-フランスやEU諸国でないと作れない映画

2007-07-09 23:37:36 | 最近見た映画
[2007年6月28日]京都シネマ

           
                   



 エチオピアは近隣のアフリカ諸国と同様に世界でもっとも虐げられ貧しい国に挙げられる。そのエチオピアからユダヤ人-民族学的にユダヤ人というのが存在するかどうか知らないが-だけが、豊かな国・イスラエルに移住できるという実際にあった「モーゼ作戦」というのがこの物語の背景にある。

 身を偽って、エチオピアからイスラエルに入国すること自体様々な関門があって苦労するのだが、エチオピアのユダヤ人は、ユダヤ人といっても外見は黒人である。だから、キリスト教徒であることを隠し、ユダヤ人を自称してもイスラエルに入れば白人のユダヤ人から異端視される。

 イスラエルに左派があるなんて今まで考えても見なかった。イスラエルというと、戦前の「シオニズム」から「シンドラーのリスト」に描かれているような苦難な歴史をへて、ようやく自分の国土を持った「待望の国」というイメージとはかけ離れ、圧倒的戦力でことあるたびにアラブ難民キャッンプを襲う好戦国家という印象ばかりが刻まれていたが、当然だが、そうばかりではないと思った。

 里親のおじいちゃんがいい。ふと、「サンドイッチの年」の主人を思い起こす。

 やりきれない世界の矛盾の中で、人間らしく生きるとはどんなことかを、ほのぼのと感じさせてくれる、味わい深い作品だ。



  「約束の旅路」-公式サイト

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