【 2016年9月8日 】 京都シネマ
トルコを舞台にした映画『裸足の季節』は、その主題がシリアスで決して簡単に解決できる問題ではないにも拘らず、5人のそれぞれ個性的でかわいらしくチャーミングな姉妹が織りなすシーンに思わず声をあげて笑ってしまったり(私はめったに映画館で声をだしてわらうことなどないー当然だが)、繰り広げる行動に拍手喝さいをあびせたくなったり、必死に応援したくなるほど興奮し感動した楽しい傑作映画だ。
愉快さは、『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ家の末娘とその兄弟たちの行動を思い起こし、また姉妹の【古い風習に立ち向かう葛藤の中での自由追及】という点では、以前観た『スカートの翼をひろげて』を思い出す。
【 5人5様の姉妹 】
末っ子のラーレの担任の先生との別れの場面のあと、同級生の男子生徒らと海岸に行き、制服のまま海に入ったり、男子生徒の肩に女生徒が『肩車』で乗ったりして騎馬戦を始めるものだから、どんな映画になるのだろうと。
『今の世の中、世界中どこに行ってもティーンエイジャーのすることは変わりがないのかな』と思っていたら、話が急展開する。
【制服のまま海に?】
5人の姉妹は、10年前に両親と死に別れ、今は祖母と叔父に育てられている。海岸での出来事を知られ、早速せっかんを受ける。この辺までなら最近の日本にもありそうなことだ。
【 あどけない女学生なのに 】
ところが、だんだん様子が変わってくる。長女、次女との縁談が持ち込まれる。長女は好きな人が居て、かろうじて逃れるが、次女は叔父らの進められるままに結婚式を迎える。
【 古き恩讐の主 】
【 5人姉妹を育てたおば 】
当人の意向など関係ない。結婚当日まで相手の顔さえ知らない。全て親同士の話で進められる。前に読んだ『選択の科学』の著者の、インド人女性でアメリカ・コロンビア大学教授のシーナ・アイエンガーが言っていた。
『私の父親は、結婚当日まで妻となる人の顔を知らなかった。』と。【父にも、母にも選択の余地がなかった!だから「選択の科学」を執筆したのだ。】
【 結婚を拒む長女ソナイ 】
【 私、結婚するの嫌-涙を流すセルマ 】
ずいぶん封建的と思われるのだが、こんなことは日本でもついこの間まであったことだ。
【 「車に乗せて行って」とせがむ姉妹 】
【 三女・エジェ 】
こんな話の内容だったら、ふつう湿っぽくなるのだが、姉妹はたくましいのだ。サッカーの試合が見たいと思えば行動を始める。鍵をかけられれば、抜け出す手立てを考える。思わず笑い、拍手をしたくなる。
【 トラックを追いかける姉妹 】
【 だんだん厳しくなる「檻の中の生活」】
しかし行動に反比例して、締め付けがきつくなる。ラーレは決心する。
【 脱走の細工のために髪を切るラーレ 】
観終った後、さわやかな感動に包まれて、映画館を後にした。
良い映画だった!!
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