【 2023年7月29日 】
京都から北アルプスに向かうときは、北陸周りで富山から南下したコースを取る。白馬とかの後立山に行くときは糸魚川(上越)で南下する。少し大回りに
思えるかもしれないが、東海道沿いの名古屋や岐阜などの都市を通らなくていいから空いているという感じがするので、だいたいそうする。敦賀まで鯖街道に沿って下の道を通り敦賀あたりで高速に乗って、目的地に向かう。
せっかく敦賀を通るんならと、敦賀にいる旧友に会う事を思いつく。電話をしてみたら、あっさり夕食を共にする約束がとれる.。落ちあい場所に迎えに来た友人はでかい車でやってきたので、さぞ豪勢な暮らしをしていると思ったら、そうでもないらしい。
車をアパート前の駐車場に置いて、歩いてほどない敦賀駅前に向かう。前回、京都で会った時はむこうだけがビールを飲み、こちらは運転手に甘んじていたから、今回はその時の借りを返してもらうつもりでいた。1軒目は、土曜日という事もあって、あいにく満席で2件目の店に入る。
【 悪友 再び登場 】
やはり地元の《美味しい処》は地元の人間が一番よく知っている。店に入った時の様子を見ていると、通い慣れたところの様だ。品書きを見れば海辺の街らしいメニューが並んでいる。
【 「しただみ」というサザエに似た貝 】
注文した「刺身定食」と生ビールで再会を祝す。
たかが「刺身定食」と思ったが、京都あたりで食べるものとは、やはり新鮮度が違うのか、本当においしいのだ。(もっとも。自分らが行く店は大衆酒場だからかもしれないが。)
そう思ったらなおさら、それだけでは物足りないと思い、追加の注文をする。と、相方が「これ知ってるか?」と言って、聞いたことのない名前を挙げる。メニューに「しただみ」とある。「いや、聞いたことない。」
出てきたものは、小さな巻貝のようなものが器に5~6個並んでいる。
「名前も聞いたこともなければ、食べたこともない。」というと、添えてある「まち針」のような細いピンで、巻貝の中を探り器用に中身を引出し「食べてみろ」という。サザエの親戚のような感じだ。自分でその針を使って中身を出そうとするがうまくいかない。「どれ!」といって、次のを引っ張り出してくれる。食べるのに年期がいりそうで、結局口したものは全て取り出してもらった。
自分らが店に入った時間が早かったのか、あとから客が次々にやってくる。繁盛しているようだ。店の中では女性が3人ほど忙しく立ち回っている。どこか何となく皆、雰囲気が似ているので、尋ねるとカウンターの向こうで手際よく料理をさばいている親父さんの娘と嫁さんという事だった。そのうちの一人が相方に親しそうに声をかけ、言葉を交わす。
自分は子供こそ独立して家を離れ、二人住まいだが、一人住まいの旧友は、それなりの苦労をしているのだと思う。
カウンターの向こうでは、オヤジさんにかわり、若い兄さんが腕を振るっている。長女の息子さんという事だ。やけに事情に詳しい。いつもここに来ているのか尋ねると、「まあ。」という。どうも行きつけの所が、食事をする所以外にも、他に数か所あるようだ。それぞれの場所で面白おかしい会話をして日常を楽しんでいるようだった。それに「お寺巡り」という趣味をもって、全国を回っている話を楽しそうにする。
「おまえも、こんな風に一人で旅に出してくれるだけでも幸せなこっちゃ!」という。そうかもしれない。
人生-今に至った経緯はにはそれぞれの事情があり、どちらの方が幸せなのかはわからない。相手の屈託のない表情を見て、それも1つの生き方かと思った。
ビールと刺身定食だけで済まそうと思ったものが、冷酒も3杯お代わりし、つまみも次々たのみ、相方にはいらぬ負担をかけてしまった。時刻をみれば、8時を過ぎていた。明日の事を考えると、それ以上の長居は不要だ。
女の子に、「ブログに書くから。」と断って、写真を1枚とり、店を後にする。
【 写真のお礼に、1つ宣伝をしておけば、店の名前は「健」といって、北陸新幹線の新しい駅舎の見える駅前にある。】