【 涸沢岳頂上からの前穂1〜3峰と富士山-その右に甲斐駒(中央)と北岳(前穂頂上の右上) 】
【 2018年7月16日 】山行第2日目
4:40起床-5:05朝食-7:10涸沢岳へ穂高小屋出発(空身)-8:15涸沢岳-写真撮影-8:45
同出発-9:25穂高山荘着-9:35同出発・下山開始-10:45休憩(1回目)-11:35中間地点で
休憩(2回目)-14:15涸沢小屋にようやく到着
【 いよいよ出発 】
今日はもう、西穂に行く元気などなかった。昨日の前穂の往復ですっかり足がだめになっていた。登りはともかく、段差の下りはひざがいうことを利かずバランスを崩す。ジャンダルムから西穂の稜線を行くなど論外だった。通常でも10時間かかるところ、1.5倍の時間がかかるとしたら日没をはるかに超えてしまう。そもそも途中で歩けなくなるかもしれない。あっさり諦める。
《早立ち組》はとっくに出発して、小屋の中はがらんとしている。ゆっくり荷造りを追え、最小限のものをデイバッグに詰め涸沢岳頂上に向かう。北穂回りも考えたが、やめた。
空身の登りだから何とか登れる。一歩一歩踏みしめて高度を上げていく。途中何度も振り返りながら写真を撮る。昨日夕方、日の落ちる直前に下りてきた奥穂からの道がはっきり見える。
【 涸沢岳頂上直下より奥穂高岳頂上への登り 】 【 ジャンダルム方面 】
奥穂の頂上標識も見える。右に目を移せばジャンダルムが違う姿で鎮座している。さらに視界を右に向け西穂方面を見れば、間ノ岳の向こうに焼岳の火口が口を開けている。思いのほか下の方に見える。
【 焼岳望遠-手前は間ノ岳 】
就走路からはずれ涸沢岳の頂上の道を行く。程なく着いた頂上は360度の眺望が利き、最高だ。
【 槍ヶ岳眺望 】
北の方角を見れば、槍ヶ岳が凛々しく聳える。中岳、南岳からの稜線が大キレットで深く落ち込み手前に迫ってくる。下を見下ろせば、北穂に至る険しい稜線が見える。・・・行かなくて正解だ。今の体力なら途中で身動きが取れなくなる、と思い知る。
【 ←涸沢岳頂上標識 】 【 北穂への縦走路 ↓ 】
槍ヶ岳のはるか後方右手には、ツンと頂上を翳した白馬岳。さらに右を見ると鹿島槍の双耳峰が見える。
【 涸沢岳より槍ヶ岳と鹿島槍(右橋)と白馬岳(その左奥) 】
焦ることは無い。今日は《涸沢ヒュッテまで行ければ良し》と決めたので、ゆったりとした気分である。天候も最高なのだから、景色をゆっくり堪能すルことにした。
【 雄大な笠ヶ岳 】
西には笠ヶ岳がでんと控える。反対側の東に目をやれば、前穂北尾根の向こうに、「これはどの山塊だろうか」と、すぐには判別できない山々の影が見える。その中で、たとえその姿が小さくても、1つだけすぐに分かるのが富士山だ。それなら、そのすぐ右の影は甲斐駒で少し離れたところにあるのは、日本第二の高峰、北岳だ。すると、左の山塊は八ヶ岳か。(この記事最初の写真参照)
【 前穂北尾根と遠くに八ヶ岳連峰と南アルプス(間に富士山) 】
【 吊尾根の間から南アルプス南部方面(塩見・荒川・赤石)の山並み 】
前穂頂上から右へ、吊尾根の間に見える山々に目を移せば、今度は南アルプス南部の山々が見える。雲海におおわれた伊那谷の向こうにそびえる山影の左側にそびえるのは塩見岳だろうか。少し離れて荒川岳(悪沢岳)赤石岳、聖岳と思われる山並の影が続く。
ずっと眺めていてもいいのだが、そうもいかない。穂高山荘までは、コースタイムに近い、ほぼ40分で下る。
【 穂高山荘から下る 】
9時半過ぎ、いよいよザックを背負っての下山である。山荘直下の雪渓は、まだ豊富に雪が残っていて、山小屋のスタッフが一生懸命道を作っているところだった。作業を見ながら高巻に雪の付いていない迂回路を進む。
【 常念岳 】
30分も歩かないうちにひざが痛み出す。岩の斜面を一歩一歩踏ん張りながら下る。そのうち、全くひざの関節が馬鹿になり、体重を支え切れなくてよろける始末である。5歩進んでは暫く立ち止まり、また5歩進むを繰り返す。
【 ザイテングラードより前穂北尾根-だいぶ下がってきたか? 】
周りの景色を見ながら、どのくらい下ったか見比べるが、涸沢ヒュッテはまだまだずっと下方である。
何組のパーティーに追い抜かれただろうか。ようやく雪渓を斜めに横切る地点まで来て、小屋が近づいてきたことを確認する。じっとしていてもつまらないので、また景色を眺め写真を撮る。
本来ならば上から2時間もかからないで下って来るべきところを、そこからさらに悪戦苦闘すること1時間-合計4時間以上もかけて、ようやく涸沢小屋にたどり着く。涸沢ヒュッテまで行くことを考えていたが、小屋のテラスに着くと、もう先に行く気力はなかった。
【 とりあえず、ビールで一息 】
何はさておき、ビールを一杯空ける。美味しい。生き返った気分とはこのことだと思う。
一息ついて、荷をあてがわれた部屋に運ぶ。布団が4人分置かれた、個室のような部屋だった。連休が終わり人がだいぶ減った。自分もいれて2人分の荷物しかない。5時の食事までにはだいぶ時間がある。外のテラスに出る。持ってきたワインとウィスキーがほとんど残っている。つまみを口に運びながらゆっくり傾ける。向こうのテーブルではコンロにかかった鍋を囲んでにぎやかにやっている。隣りの席には私と同じ単独行か、何やら調べている。声をかける。山では共通の話題があるから誰とでもすぐ《お友達》になれる。話の内容は大方、お互いの過去の自慢話だ。自分の方が多少経験があると思うと優越感を感じたりする。それでも屈託なくおしゃべりができるのは山での魅力だ。
山の空気、美しい景色に囲まれ、こんなゆったりとした気持ちで時を過ごすのは何十年ぶりだろうか。仕事を持っている時は限られた休暇の中で日程を気にし、」時間に追われ,天候に左右されて、いつも先を焦っていたような気がする。今回も、始め考えていた予定のコースをこなそうと思ったら、こんな時間は持てなかったに違いない。そう考えると、《怪我の功名》でもないが、これでよかったのかもしれない、と思う。要は、年齢と体力相応にいけという事か。
おしゃべりも弾み、気がつけば食事の時間が近づいている。
食事のテーブルでも、ビールが入り先ほどの人と話のつづきをする。
【 夕陽を浴びて赤く染まる前穂 】
夕食後、外に出ると夕陽が前穂を赤く染めていた。明日は、下山である。
『2018年7月、いざ穂高へ-その(4)』-に進む
『2018年7月、いざ穂高へ-その(2)岳沢小屋から穂高山荘まで』-に戻る
『2018年7月、いざ穂高へ-その(1)』-へ戻り、最初から見る
【 2018年7月16日 】山行第2日目
4:40起床-5:05朝食-7:10涸沢岳へ穂高小屋出発(空身)-8:15涸沢岳-写真撮影-8:45
同出発-9:25穂高山荘着-9:35同出発・下山開始-10:45休憩(1回目)-11:35中間地点で
休憩(2回目)-14:15涸沢小屋にようやく到着
【 いよいよ出発 】
今日はもう、西穂に行く元気などなかった。昨日の前穂の往復ですっかり足がだめになっていた。登りはともかく、段差の下りはひざがいうことを利かずバランスを崩す。ジャンダルムから西穂の稜線を行くなど論外だった。通常でも10時間かかるところ、1.5倍の時間がかかるとしたら日没をはるかに超えてしまう。そもそも途中で歩けなくなるかもしれない。あっさり諦める。
《早立ち組》はとっくに出発して、小屋の中はがらんとしている。ゆっくり荷造りを追え、最小限のものをデイバッグに詰め涸沢岳頂上に向かう。北穂回りも考えたが、やめた。
空身の登りだから何とか登れる。一歩一歩踏みしめて高度を上げていく。途中何度も振り返りながら写真を撮る。昨日夕方、日の落ちる直前に下りてきた奥穂からの道がはっきり見える。
【 涸沢岳頂上直下より奥穂高岳頂上への登り 】 【 ジャンダルム方面 】
奥穂の頂上標識も見える。右に目を移せばジャンダルムが違う姿で鎮座している。さらに視界を右に向け西穂方面を見れば、間ノ岳の向こうに焼岳の火口が口を開けている。思いのほか下の方に見える。
【 焼岳望遠-手前は間ノ岳 】
就走路からはずれ涸沢岳の頂上の道を行く。程なく着いた頂上は360度の眺望が利き、最高だ。
【 槍ヶ岳眺望 】
北の方角を見れば、槍ヶ岳が凛々しく聳える。中岳、南岳からの稜線が大キレットで深く落ち込み手前に迫ってくる。下を見下ろせば、北穂に至る険しい稜線が見える。・・・行かなくて正解だ。今の体力なら途中で身動きが取れなくなる、と思い知る。
【 ←涸沢岳頂上標識 】 【 北穂への縦走路 ↓ 】
槍ヶ岳のはるか後方右手には、ツンと頂上を翳した白馬岳。さらに右を見ると鹿島槍の双耳峰が見える。
【 涸沢岳より槍ヶ岳と鹿島槍(右橋)と白馬岳(その左奥) 】
焦ることは無い。今日は《涸沢ヒュッテまで行ければ良し》と決めたので、ゆったりとした気分である。天候も最高なのだから、景色をゆっくり堪能すルことにした。
【 雄大な笠ヶ岳 】
西には笠ヶ岳がでんと控える。反対側の東に目をやれば、前穂北尾根の向こうに、「これはどの山塊だろうか」と、すぐには判別できない山々の影が見える。その中で、たとえその姿が小さくても、1つだけすぐに分かるのが富士山だ。それなら、そのすぐ右の影は甲斐駒で少し離れたところにあるのは、日本第二の高峰、北岳だ。すると、左の山塊は八ヶ岳か。(この記事最初の写真参照)
【 前穂北尾根と遠くに八ヶ岳連峰と南アルプス(間に富士山) 】
【 吊尾根の間から南アルプス南部方面(塩見・荒川・赤石)の山並み 】
前穂頂上から右へ、吊尾根の間に見える山々に目を移せば、今度は南アルプス南部の山々が見える。雲海におおわれた伊那谷の向こうにそびえる山影の左側にそびえるのは塩見岳だろうか。少し離れて荒川岳(悪沢岳)赤石岳、聖岳と思われる山並の影が続く。
ずっと眺めていてもいいのだが、そうもいかない。穂高山荘までは、コースタイムに近い、ほぼ40分で下る。
【 穂高山荘から下る 】
9時半過ぎ、いよいよザックを背負っての下山である。山荘直下の雪渓は、まだ豊富に雪が残っていて、山小屋のスタッフが一生懸命道を作っているところだった。作業を見ながら高巻に雪の付いていない迂回路を進む。
【 常念岳 】
30分も歩かないうちにひざが痛み出す。岩の斜面を一歩一歩踏ん張りながら下る。そのうち、全くひざの関節が馬鹿になり、体重を支え切れなくてよろける始末である。5歩進んでは暫く立ち止まり、また5歩進むを繰り返す。
【 ザイテングラードより前穂北尾根-だいぶ下がってきたか? 】
周りの景色を見ながら、どのくらい下ったか見比べるが、涸沢ヒュッテはまだまだずっと下方である。
何組のパーティーに追い抜かれただろうか。ようやく雪渓を斜めに横切る地点まで来て、小屋が近づいてきたことを確認する。じっとしていてもつまらないので、また景色を眺め写真を撮る。
本来ならば上から2時間もかからないで下って来るべきところを、そこからさらに悪戦苦闘すること1時間-合計4時間以上もかけて、ようやく涸沢小屋にたどり着く。涸沢ヒュッテまで行くことを考えていたが、小屋のテラスに着くと、もう先に行く気力はなかった。
【 とりあえず、ビールで一息 】
何はさておき、ビールを一杯空ける。美味しい。生き返った気分とはこのことだと思う。
一息ついて、荷をあてがわれた部屋に運ぶ。布団が4人分置かれた、個室のような部屋だった。連休が終わり人がだいぶ減った。自分もいれて2人分の荷物しかない。5時の食事までにはだいぶ時間がある。外のテラスに出る。持ってきたワインとウィスキーがほとんど残っている。つまみを口に運びながらゆっくり傾ける。向こうのテーブルではコンロにかかった鍋を囲んでにぎやかにやっている。隣りの席には私と同じ単独行か、何やら調べている。声をかける。山では共通の話題があるから誰とでもすぐ《お友達》になれる。話の内容は大方、お互いの過去の自慢話だ。自分の方が多少経験があると思うと優越感を感じたりする。それでも屈託なくおしゃべりができるのは山での魅力だ。
山の空気、美しい景色に囲まれ、こんなゆったりとした気持ちで時を過ごすのは何十年ぶりだろうか。仕事を持っている時は限られた休暇の中で日程を気にし、」時間に追われ,天候に左右されて、いつも先を焦っていたような気がする。今回も、始め考えていた予定のコースをこなそうと思ったら、こんな時間は持てなかったに違いない。そう考えると、《怪我の功名》でもないが、これでよかったのかもしれない、と思う。要は、年齢と体力相応にいけという事か。
おしゃべりも弾み、気がつけば食事の時間が近づいている。
食事のテーブルでも、ビールが入り先ほどの人と話のつづきをする。
【 夕陽を浴びて赤く染まる前穂 】
夕食後、外に出ると夕陽が前穂を赤く染めていた。明日は、下山である。
『2018年7月、いざ穂高へ-その(4)』-に進む
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