今年も懲りずに、南アルプスに出かける。今回は、北岳から塩見岳までの縦走を計画。甲府から入り三伏峠から伊那側の大鹿村に抜けるため、車は使わず、バス・列車で行くことに。
【今回の山行の行動範囲】
【2011年7月22日(金曜)】 山行・第一日目
今回の山行は行く直前までやきもきさせられた。というのも、出発予定日の10日ほど前に発生した迷走台風6号が、1週間たってもまだ日本近辺をウロウロして、遠ざかる気配が無い。20日には近畿地方には暴雨風警報がでて気にかかる。現地ではどんな状況だろうとインターネットで情報を集める。
21日、晩遅くに出発する夜行の『高速バス』は運行できるという。問題は甲府から登山口である広河原まで入る地元のバスである。20日の段階では、甲府-広河原線は道路が《通行止め》のため運行していないという話だ。奈良田と広河原を結ぶ線は《かけ崩れ》のため運行中止という。
出発当日の『山梨交通』のホームページを見ても、《運行中止》のままだ。ルートを変えることや、1日繰り延べにする日程にすることや、場合によっては行き先の山を変えることも考え、いつもの相方のYさんと相談する。
念のため、直接『山梨交通』に電話で確認をしてみると、あっさり「今日から運行を再開しています。」との返事。
日程を変更することによる宿や『高速バス』のキャンセルをどうしようと考えをめぐらし、どうしようかと迷っていた問題が氷解し、拍子抜けする。
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前日、定時まで仕事をした後、京都駅前を11時前に出発する夜行の高速バスに間に合うよう、家を出る。いつものように、Yさんの奥さんに車で京都駅まで送っていただく。
横3列の2階建てバスは思っていたより狭かった。しかし、リクライニングできるシートはありがたい。トイレつきだったので、安心してコンビニで購入したビールを開け、眠りにつく。
【早朝の甲府駅前】
午前6時半前、定刻よりやや早く甲府駅前に到着する。この時間には、広河原行きの直行バスが無い。9時まで待つのは時間のロスとなるので、同じような登山者に声をかけ、シャトル・バスの発着する芦安までタクシーで行くことにする。
ホームページに載っていた路線バスではなく、この時期だけのジャンボタクシーが待ち構えていて、すぐにそれに乗り継ぐ。
午前9時前、広河原に到着。途中、夜叉神峠辺りはガスッていたが、広河原は晴天だった。これなら予定通り、今日は『肩の小屋』まで行けそうだ。(そうでなかったら、後の日程がすごくきつくなるところだった。)
【広河原のビジター・センター】
駐車場の奥の空き地で、昨晩家で作ってもらったお弁当の握り飯を急いでほおばる。水筒に水を入れ、登山靴に履き替え、9:20に広河原を出発する。
【目指す『北岳』は雲の中-左奥に大樺沢の雪渓が見える】
【つり橋を渡ると、早速急登にかかる】
『白根御池』までは樹林帯の登りである。途中、大樺沢への分岐点があるが、『草すべり』コースを行くことに決めていた。大樺沢は、私が以前、北岳に登ったときのコースなので、同じコースを避けたいと思っていたが、台風の雨のため沢が増水しているかも知れないという情報もあって、『草すべり』コースでよかったと思っている。
【大樺沢と白根御池への分岐点】
白根御池には村営の立派な山小屋が建っている。ソフトクリームを食べ、『草すべり』の登りにかかる。この登りは、思っていた以上に辛かった。振り返って、御池をかえり見るが、いつまでたってもその大きさが変わらない。
【『草すべり』中ほどから見下ろした『白根御池』】
【「鹿の食圧から高山植物を守る」と書かれた看板とフェンス】
『鹿のフェンス』が張り巡らされたところを過ぎ、二股からの道と合流してしばらくすると、やっと『小太郎山』からの尾根道と合流する地点に出た。あとは、ガレ場を登り、4時に肩の小屋に到着する。
4日間の行程で一番きついと思っていた最初の難関を「時間内で」無事通過した。
【『肩の小屋』手前のガレ場の登り】
山小屋に到着したら、まずはビールである。白根御池小屋で飲もうと思ったが、昼も過ぎていない時間で、急登の『草すべり』が控えていることから自重したが、もう歩く必要は無い。残念ながら生ビールはなかったので800円の缶ビールを飲む。ガスのかかった景色を眺めていると、この小屋の常連らしき人が話をしてくる。『北岳草』のことやら、かすかに確認できた『ブロッケン現象』のことを物知り顔に説明してくれる。
【『肩の小屋』の夕食】
夕食は5時半からの2順目。
狭い食堂の狭い座卓の片方に3人が詰めあって夕食を終えるとすることが無い。それよりも、今日は夜行バスで登山口に着いて、休息もろくにとらず歩き詰め-しかも標高差1700メートルのハードな急登の連続だったから、「やることが無い」と思う間もなく、睡魔が襲ってきて、あてがわれたスペースに横になった途端、眠りに着いてしまった。
【つづく】