【2007年7月6日】 京都シネマ
7月3日の1回目に行った時は、上映間際の時間ということもあって、満席で(立ち見もいっぱい!)見ることができずに、他の映画館に行き別の映画を見てきた。
今回は時間に余裕を持って行ったつもりだが、またもや危うく満席になるところだった。
物語は、過疎の村から、数年前に村長が無医村を脱却しようとようやく確保した“ドクター”が失踪したことから始まる。
村民皆から慕われ、頼りにされてた唯一の先生がなぜ失踪したか。実は、医師免許を持っていなかったのだ。
《資格》と《実際の技量》は実際にはなかなかかみ合わない。経験豊かな看護婦と新米の医者、あるいはやる気のない医者と観察力豊かな看護師との齟齬など日常の世界でもよく見る光景だ。
資格があっても裏付けの知識や素養のない有資格者。形式的な試験に合格しこれまた形だけの研修で俄づくりに養成された者が現場に送り込まれたのでは、現場はたまったものではない。
かといって、資格が無くてもいいという訳にもいかない。偽物が本物を上回っている場合も多くあるだろうが、無資格が許されるわけがない。たまたま同じ判断や処置をくだしても、その背景となる考えや基本的知識が不充分だったら別の場合判断を誤るかも知れない。見よう見まねだけではダメなのである。
いずれにしても偽医者か本当の医者かあるいは藪医者かは、絵画の作品が偽物か本物か、オリジナルか複製かの判断基準や、価値基準-実際の効用を計るとか-その存在意義を考えると別のものであり、実際はかなり複雑な問題をはらんでいる様に思える。
もうひとつ。嘘と本当の問題に、本人への告知がある。これもこの映画のもうひとつのテーマである。
『その嘘は、罪ですか』
西川監督は、映画を通していろいろな問題を投げかけてくる。
「ディア・ドクター」-公式サイト