【2014年8月16日 午後8時 】 京都・上賀茂橋
今年はてっきり、中止と決め込んでいた「大文字の送り火」が決行された。
横浜から戻り、ずっと降り続いている雨は、今日になってもやむ気配がない。それどころか、一晩中降ったのにさらに雨足は強くなるばかりだ。屋根をたたく激しい音が1日中鳴りやまない。
雨で外にも出られず、こんなのでは到底『送り火』は無理と思っていた。
いつもはあわただしく多くの足音が響くのを聞いて、そろそろ始まるかと気づかされるのだが、今年はその気配がない。だが、午後の8時をまわった頃、かすかに人の歩く音が聞こえるので外に出て、近くの「上賀茂橋」まで行ってみると、例年より遙かに少ないが、人が集まっていた。霧雨が降る中、もう帰る人もいたが橋も上は、大勢の人がいた。
8時ちょうどに点火されたはずの「大文字」が火の勢いこそ衰えかけていたが、まだくっきりと《点灯》していた。
振り返って、「船形」を見れば、今が盛りだった。
橋の上に立っていると、雑踏の騒がしさもさることながら、下を流れる加茂川の濁流の橋桁を洗う音が大きくとどろきわたる。先ほど、右京区の桂川上流の町に「避難勧告」が出たようだ。
「送り火」を写真に収めると、川面から立ち上がる水煙か小雨か区別のつかない水滴を感じながら家に戻る。
2014年度『五山送り火』決行