【 2018年7月15日〜18日 】
直前まで、その気はなかったのだが快晴の空-その天候が4〜5日続くという予報をきいて、これを逃す手はないと、急遽、山友のYさんの車に便乗して上高地へ。
【 2018年7月15日 】山行第1日目
5:00京都自宅出発-7:00長良川SA-9:10平湯「あかんだな駐車場」着-1025上高地行バスに乗車
-11:00上高地着-(Yさんと別れる)-11:30岳沢入口-15:15岳沢小屋着-17:00夕食-
20:00就寝
上高地は、一昨年霞沢岳を目指した時以来2年ぶりだ。その後に、西穂小屋から焼岳に登っていたYさんが「焼岳から見た霞沢に惹かれた」といって、今年は霞沢に登るとだいぶ前から宣言していた。Yさんは現役だから、休みの日程は限られているから、合わせにくい。それと、前回頂上まで行けなかったにせよ、ついこの間、行った同じコースにもう一度行きたいとは思わなかったから、二人で行く計画は立てていなかった。Yさんは15日に行くと決めた事を、一週間前に聞いた。自分としては《天候を見定めて》ここはという日に、その気になったらどこか他の山に挑戦しようと漠然と考えていた。ところが、7月初旬の豪雨を跳ね返すように、14日からは真夏が突然やってきて日本中が晴れわたり、少なくとも1週間は快晴が続く見込みだと知った時は、胸が高鳴った。この時を逃す手はない。
前日、早速Yさんに上高地までの便乗を申し込む。そこから先の行先は別だ。一晩考えて「槍にしようか穂高にしようか」迷ったが、重太郎新道から岳沢をまっすぐ登り、前穂から奥穂、それと欲張って西穂に回り、可能ならYさんが割と良かったと言っていた焼岳に寄ってから上高地に戻るルートを考えた。Yさんは2泊で帰るという事だから、帰りは上高地発の高速バスにでも乗ればいいと。快く受け入れてもらい、話は決まった。
15日午前5時前、自宅の前まで迎えに来てもらったYさんの車に乗り込む。名神と東海北陸自動車道を乗り継いで高山経由で平湯に入る。9時10分、平湯のアカンダナ駐車場に到着。
【 平湯の駐車場 】
そこから上高地へのピストンバスに乗り継ぐのだが、よくよく考えたら連休の真ん中の日で、アカンダナ駐車場のバスターミナルは上高地行きの観光客でごった返していた。列はゆうにバス3台分を越している長さだった。30分に1本の発車だから2時間以上待たされる覚悟をしていたが、幸い増便が出て1時間ほどで乗れ、11時には上高地に着けた。これで予定通りの行動ができそうだ。
上高地は晴れわたっていた。2012年の秋に、同じ上高地からYさんと一緒に4泊5日の穂高山行をしたとき、初日こそ晴れはしたものの、3日までは雨模様で、ジャンダルムに登頂した時だけかろうじて晴れ間がのぞき、最終日の5日目に上高地まで下りてきた時にやっと快晴の空が広がったのを、恨めしく思いながら河童橋を後にした時のことを思い起こした。何度見ても雄大な景色に見とれ、「山が呼んでいる、今回は今これから始まる。」といきり立つ。
【 Yさんとは、ここで別れる 】
河童橋の上で写真を撮ってもらった後、それぞれのコースを行くため二手に分かれる。Yさんは、徳本峠に向かい、私は岳沢小屋向かう。それぞれ単独行だ。私が西穂を回るという計画を打ち明けると、無理をしない方がいいとアドバイスをしてくれる。-新聞沙汰になって「無謀で軽はずみな計画」と非難されるのもかなわないと。
しばらく歩いていると、Yさんからの携帯が鳴る。何かと思っていたら「徳本峠小屋」の宿泊を断られたという。どうするんだろうかと思う。
岳沢の入り口にかかる。今日の行程は「岳沢小屋」まで。地図上の予定所用時間は2時間30分だ。11時半だから充分間に合う。
穂高には20回近く通っているが、例年梅雨の開けていない7月中旬に穂高に来るのも初めてだし、こんないい天気に巡り合ったのは最近記憶にない。時間に余裕あることもあって、西穂の稜線をこれまでになく観察することが出来た。
【 上高地を望む(望遠)】
振り返れば、先ほどYさんと別れた上高地の河童橋が手に取るように見える。そのはるか向こうには乗鞍岳がかすかに見える。
【 小屋はまだ先 】 【 吊り尾根も正面に 】
岳沢の入り口から岳沢小屋までの間には「涸沢トレール」という標識があって、上から①から⑩番までの番号がふられている。5番はちょうど中間点で標高1830mという事だ。小屋が2170m地点にあるからあと340m登らなければならない。でも慌てる必要はない。たっぷり時間はある。景色を楽しみながら進む。
【 涸沢トレール5 】
【 天狗の頭と畳岩の大斜面 】 【 上高地をはさんで反対側にそびえる霞沢岳 】
「涸沢トレール」の2番にさしかかった。標高は2000mを越えた。もう一息である。岳沢小屋の真横にある天狗の頭と天狗沢にだいぶ近づいてきた。奥穂とジャンダルムの方向を見上げるが、どれが頂上か判然としない。「ロバの耳」それとはわかるが「ジャンダルム」は「コブの頭」の陰になって、そこからは見えないようだ。振り返ればさっきまで見上げていた六百度山と霞沢岳が同じくらいの高さに見えてきた。
小屋に3時15分到着。4時間弱だから、写真をふんだんに撮りながらのスローペースを考慮したら、標準タイムの1.5倍程度の、まあまあの時間である。この調子でいけば8時間のコースは12時間で行ける。西穂を回ってみようかなと、ふと思う。受付をする時、入口横の掲示板に「予約のない人は宿泊できません」の文字。今朝、車の中から予約の電話を入れてすんなり取れたのだが、同宿者の話によると「2週間前に電話してようやく取れた」とか「3日前に友人が予約を入れた時はだめだった」とこの声を聴いた。たまたまキャンセルが入った直後のタイミングで運良くとれたのだと思うと、Yさんの二の舞になりかねず幸運だったと思った。それにしても「山小屋は宿泊を拒まず」の不文律はどうなっているかと考えたが、暗くなりかけた7時前に到着した人を泊めていたから、早い時間の折は、「下まで降りてください」という事なのかと考える。
【 岳沢小屋 】
着いて早々、生ビールを一杯空けた後、着替えもせず、割り振られた部屋にもいかず、持ってきたワインを傾けながらデッキで至福の時を過ごす。正面には霞沢岳と遠くに乗鞍岳。目を横に移せば天狗の頭の大迫力。飽きることは無い。
【 天狗の頭と天狗沢、畳岩の大斜面 】
心地よい気分に浸っていると遠くからヘリの音。だんだん近づいてきて轟音となる。どうするかと思っていたら近くのヘリポートに着陸したかと思うと人影が動き、数分でまた飛び立っていった。消防隊の急救難ヘリコプターだった。そういえば着いた時、荷物置き場のシュラフの中に人が寝ていると思っていたが、どうも怪我をして動けなくなり救助を要請したらしかった。こんな真近で救助の様子を見るのは初めてである。
【 長野消防隊の救急ヘリが飛来 】
午後5時の1巡目の夕食に呼ばれ前に建物に入り、部屋で荷物を整理した後、食事の際またビールを飲む。
【 岳沢小屋の夕食 】
外はまだまだ明るい。再びベランダに出てて、日が沈みかける頃まで外で過ごす。
【 広がる夏空 】
【 岳沢小屋から明日登る上部を見上げる 】 【 夕闇迫る明神沢 】
上を見上げると7時を回ろうというのにヘッドランプを着けた数人が急な斜面を下りてくるのが見える。そういえば、6年前の自分も、こうして見られていたのかもしれない。 その人たちが急遽談話室から宿泊部屋にしつらえたところに泊まったようだ。
部屋は、畳2枚に3人ほどで割とゆったりしている。消灯8時、翌日に備えぐっすり寝る。
(つづく)
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『2012年秋、穂高岳山行記①』-マイブログへ
『2016年10月、徳本峠を訪ねる①-霞沢岳に挑戦』-マイブログへ
直前まで、その気はなかったのだが快晴の空-その天候が4〜5日続くという予報をきいて、これを逃す手はないと、急遽、山友のYさんの車に便乗して上高地へ。
【 2018年7月15日 】山行第1日目
5:00京都自宅出発-7:00長良川SA-9:10平湯「あかんだな駐車場」着-1025上高地行バスに乗車
-11:00上高地着-(Yさんと別れる)-11:30岳沢入口-15:15岳沢小屋着-17:00夕食-
20:00就寝
上高地は、一昨年霞沢岳を目指した時以来2年ぶりだ。その後に、西穂小屋から焼岳に登っていたYさんが「焼岳から見た霞沢に惹かれた」といって、今年は霞沢に登るとだいぶ前から宣言していた。Yさんは現役だから、休みの日程は限られているから、合わせにくい。それと、前回頂上まで行けなかったにせよ、ついこの間、行った同じコースにもう一度行きたいとは思わなかったから、二人で行く計画は立てていなかった。Yさんは15日に行くと決めた事を、一週間前に聞いた。自分としては《天候を見定めて》ここはという日に、その気になったらどこか他の山に挑戦しようと漠然と考えていた。ところが、7月初旬の豪雨を跳ね返すように、14日からは真夏が突然やってきて日本中が晴れわたり、少なくとも1週間は快晴が続く見込みだと知った時は、胸が高鳴った。この時を逃す手はない。
前日、早速Yさんに上高地までの便乗を申し込む。そこから先の行先は別だ。一晩考えて「槍にしようか穂高にしようか」迷ったが、重太郎新道から岳沢をまっすぐ登り、前穂から奥穂、それと欲張って西穂に回り、可能ならYさんが割と良かったと言っていた焼岳に寄ってから上高地に戻るルートを考えた。Yさんは2泊で帰るという事だから、帰りは上高地発の高速バスにでも乗ればいいと。快く受け入れてもらい、話は決まった。
15日午前5時前、自宅の前まで迎えに来てもらったYさんの車に乗り込む。名神と東海北陸自動車道を乗り継いで高山経由で平湯に入る。9時10分、平湯のアカンダナ駐車場に到着。
【 平湯の駐車場 】
そこから上高地へのピストンバスに乗り継ぐのだが、よくよく考えたら連休の真ん中の日で、アカンダナ駐車場のバスターミナルは上高地行きの観光客でごった返していた。列はゆうにバス3台分を越している長さだった。30分に1本の発車だから2時間以上待たされる覚悟をしていたが、幸い増便が出て1時間ほどで乗れ、11時には上高地に着けた。これで予定通りの行動ができそうだ。
上高地は晴れわたっていた。2012年の秋に、同じ上高地からYさんと一緒に4泊5日の穂高山行をしたとき、初日こそ晴れはしたものの、3日までは雨模様で、ジャンダルムに登頂した時だけかろうじて晴れ間がのぞき、最終日の5日目に上高地まで下りてきた時にやっと快晴の空が広がったのを、恨めしく思いながら河童橋を後にした時のことを思い起こした。何度見ても雄大な景色に見とれ、「山が呼んでいる、今回は今これから始まる。」といきり立つ。
【 Yさんとは、ここで別れる 】
河童橋の上で写真を撮ってもらった後、それぞれのコースを行くため二手に分かれる。Yさんは、徳本峠に向かい、私は岳沢小屋向かう。それぞれ単独行だ。私が西穂を回るという計画を打ち明けると、無理をしない方がいいとアドバイスをしてくれる。-新聞沙汰になって「無謀で軽はずみな計画」と非難されるのもかなわないと。
しばらく歩いていると、Yさんからの携帯が鳴る。何かと思っていたら「徳本峠小屋」の宿泊を断られたという。どうするんだろうかと思う。
岳沢の入り口にかかる。今日の行程は「岳沢小屋」まで。地図上の予定所用時間は2時間30分だ。11時半だから充分間に合う。
穂高には20回近く通っているが、例年梅雨の開けていない7月中旬に穂高に来るのも初めてだし、こんないい天気に巡り合ったのは最近記憶にない。時間に余裕あることもあって、西穂の稜線をこれまでになく観察することが出来た。
【 上高地を望む(望遠)】
振り返れば、先ほどYさんと別れた上高地の河童橋が手に取るように見える。そのはるか向こうには乗鞍岳がかすかに見える。
【 小屋はまだ先 】 【 吊り尾根も正面に 】
岳沢の入り口から岳沢小屋までの間には「涸沢トレール」という標識があって、上から①から⑩番までの番号がふられている。5番はちょうど中間点で標高1830mという事だ。小屋が2170m地点にあるからあと340m登らなければならない。でも慌てる必要はない。たっぷり時間はある。景色を楽しみながら進む。
【 涸沢トレール5 】
【 天狗の頭と畳岩の大斜面 】 【 上高地をはさんで反対側にそびえる霞沢岳 】
「涸沢トレール」の2番にさしかかった。標高は2000mを越えた。もう一息である。岳沢小屋の真横にある天狗の頭と天狗沢にだいぶ近づいてきた。奥穂とジャンダルムの方向を見上げるが、どれが頂上か判然としない。「ロバの耳」それとはわかるが「ジャンダルム」は「コブの頭」の陰になって、そこからは見えないようだ。振り返ればさっきまで見上げていた六百度山と霞沢岳が同じくらいの高さに見えてきた。
小屋に3時15分到着。4時間弱だから、写真をふんだんに撮りながらのスローペースを考慮したら、標準タイムの1.5倍程度の、まあまあの時間である。この調子でいけば8時間のコースは12時間で行ける。西穂を回ってみようかなと、ふと思う。受付をする時、入口横の掲示板に「予約のない人は宿泊できません」の文字。今朝、車の中から予約の電話を入れてすんなり取れたのだが、同宿者の話によると「2週間前に電話してようやく取れた」とか「3日前に友人が予約を入れた時はだめだった」とこの声を聴いた。たまたまキャンセルが入った直後のタイミングで運良くとれたのだと思うと、Yさんの二の舞になりかねず幸運だったと思った。それにしても「山小屋は宿泊を拒まず」の不文律はどうなっているかと考えたが、暗くなりかけた7時前に到着した人を泊めていたから、早い時間の折は、「下まで降りてください」という事なのかと考える。
【 岳沢小屋 】
着いて早々、生ビールを一杯空けた後、着替えもせず、割り振られた部屋にもいかず、持ってきたワインを傾けながらデッキで至福の時を過ごす。正面には霞沢岳と遠くに乗鞍岳。目を横に移せば天狗の頭の大迫力。飽きることは無い。
【 天狗の頭と天狗沢、畳岩の大斜面 】
心地よい気分に浸っていると遠くからヘリの音。だんだん近づいてきて轟音となる。どうするかと思っていたら近くのヘリポートに着陸したかと思うと人影が動き、数分でまた飛び立っていった。消防隊の急救難ヘリコプターだった。そういえば着いた時、荷物置き場のシュラフの中に人が寝ていると思っていたが、どうも怪我をして動けなくなり救助を要請したらしかった。こんな真近で救助の様子を見るのは初めてである。
【 長野消防隊の救急ヘリが飛来 】
午後5時の1巡目の夕食に呼ばれ前に建物に入り、部屋で荷物を整理した後、食事の際またビールを飲む。
【 岳沢小屋の夕食 】
外はまだまだ明るい。再びベランダに出てて、日が沈みかける頃まで外で過ごす。
【 広がる夏空 】
【 岳沢小屋から明日登る上部を見上げる 】 【 夕闇迫る明神沢 】
上を見上げると7時を回ろうというのにヘッドランプを着けた数人が急な斜面を下りてくるのが見える。そういえば、6年前の自分も、こうして見られていたのかもしれない。 その人たちが急遽談話室から宿泊部屋にしつらえたところに泊まったようだ。
部屋は、畳2枚に3人ほどで割とゆったりしている。消灯8時、翌日に備えぐっすり寝る。
(つづく)
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