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最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「誰も守ってくれない」-容疑者の家族とマスコミとインターネット

2009-03-02 23:30:59 | 最近見た映画
 【2009年2月23日】 TOHOシネマ二条

 直近に観た映画「BOY A」は未成年犯罪者その者の、その後を扱った映画だった。奇しくも、また未成年の犯罪に関する映画を見るとは。

「誰も守ってくれない」は、神戸での児童殺害事件でのその後を思い浮かべるような問題を扱っていて、社会のゆがみ・経済の歪みがこんなところに影を落としている、と思ってしまう。


  ○    ○    ○

 被害者家族はもちろんのこと、加害者(容疑者)の家族もある意味では被害者なのだと。

 しかし、世間一般の感情としては、そうはなっていないところに問題がある。

 犯人は憎いし、そうした人間を育てた家庭はドンな教育をしていたのかということになる。ましてや自分の子供が凶行の犠牲になったら、加害者本人の人格をどう見るかとか、やれ家族の人権を無視して良いのかといった、第三者的な判断は取れないと思う。自分も同じ境遇に出会ったら冷静ではいられないと思う。

 イスラエルとパレスティナとの一部の報復合戦も似たような感情ではないかと思ってしまう。

 「目には目を」と言ったらそれこそ終りが来ない。何処かで止めないといけないとは思うのだが、簡単にわりきれる話でもない。

   ○    ○    ○

 映画は、犯罪後の被害者・加害者を巡る上のような一般的理解を背景に、加害者家族を世間の圧力から保護する役割を負わされた刑事を中心に展開する。
 当初は「保護」する事に懐疑的だったものが、予想以上のマスコミやそれにあおられた世間の強い風当たりに当惑する。更に、刑事自身の過去の問題や、インターネットの悪用・弊害の問題もからめてくるから、ややこしくなってくる。

 現実は、あらゆる問題が錯綜してややこしく解決の端緒が見いだしにくいモノだが、その中で何が本質でどれが主題なのかを観るものに提示するのが作者・監督・演出者の役割だと思う。

 ただ、問題を鮮明に出したいがために、場面場面で必要以上に戯画化していることが気になる。

 それと、一番しっくりこないのは、子供が被害にあったペンション夫婦の主人の心の動きである。人の気持ちというものは、あんな短期間にころころ変わるものではないと思うのだが。演出がまずいのか演技がまずいのか、深刻表現の映画で不自然なシーンは見ていられない。

   ○    ○    ○

 マスコミの役割やインターネットの弊害、加害者家族の心境・置かれた立場の苦しさ等を示すのには、それなりの問題提起ができた見応えのある映画だと思うのだが、何か違うような気もする。
 


 「誰も守ってくれない」-公式サイト 

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