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『政府は必ず嘘をつく-アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること』-橋下独裁の手本が(3)

2012-03-11 00:06:08 | お薦めの本




 【「情報隠ぺい」が作ってきた世界の原発の歴史】(P-31以降)では、過去の世界各地の原発事故での隠蔽工作の実態が上げられている。その多くの事実を、私を含め多くの人が知らないということは、重大な事故のもかかわらず、意図的に隠されたか、あるいは報道されなかったということだ。


《第1章-「政府や権力は嘘をつくのです」》-の続き

 どんな重大事故があり、どんな《ねつ造》や《隠ぺい工作》がされていたかを抜粋すると、

 1961年、米国アイダホ州アーコにある原子炉実験所での爆発事故:
3人の作業中の兵士の一人が、誤って制御棒を完全に引き抜いてしまった事故で、連鎖反応で出力が異常に上昇し、原子炉は爆発し炉心の2割は融解、3人とも即死した。 それに対して、事故から10年後、NRC(アメリカ原子力委員会)は
 『アーコ原子炉爆発事故は、極度のストレス下にあった一人の兵士によって意図的に引き起こされたものである。』(P-33)との報告書を作成する。

 1970年、サウスカロライナ州、サバンナリバー核兵器工場の炉心融解の事故:
 『政府はすぐに「工場は安全に管理されている」と発表し、同原子炉を動かしていたデュポン社はニューヨーク・タイムズ社に「放射能は建物内から出ておらず、被害人数もゼロです。」という全面広告を出した。』(P-34)
 その4年後、政府はこの事故での放射線レベルは『健康に害を与える量よりはるかに低い』と報告したが、18年後にようやく議会の公聴会で、実は『アメリカ史上もっとも深刻な事故のひとつ』(P-34)であったことを、国民は初めて知ることになる。

 1957年10月、イギリスの軍事用プルトニウム生産工場での事故
 国民は30年後にはじめて事故を知ることになる。

 『世界初の重大な原子炉事故でした。・・・16時間にわたって大量の放射性物質を外部に放出し・・・でも、当時のマクミラン政権が避難命令を出さなかったために、地元住民は一生許容量の10倍の放射線を受け、直後に数十人が白血病で死亡しました。もちろん、マスコミもぐるでした・・・(後略)。』

 『なぜ、30年立ってから、事故の真相が出てきたのですか?』(堤)

 『当時の政府が、国内で開発した核兵器用濃縮ウランをアメリカに売却をする契約をしていたからです。両国は、この事故を30年間隠ぺいするという内容の密約を交わしていました。』
(P-35)


 政府の《隠ぺい》や《嘘》を通しきるための手だて・材料は、《利権構造》の他に、《マスコミ支配》とそれを支える《御用学者》だ。

 【御用学者の作り方】(P-40以降)では、『アカデミズムと財界の癒着に注意を払うべきだ』と警告するポートランド州立大学のケネス・ルオフ教授の言葉を引用して、次のように続ける。

『日本人の中にはまだ“東大神話”をはじめ、大学教授の言うことを無条件に信じる傾向がある。だが、大学という場所は昔と違い、もはや研究だけをしていればいいという聖域ではなくなった。米国では大学に対する政府予算削減により、多くの大学を外部資金調達に走らせ、企業との癒着を増大させている。・・(後略)』(P-41)

 《御用学者》の一例として、
 『「格納容器破損は1億年い一度起こるかどうかという危険レベル」「プルトニウムは飲んでも大丈夫』などと言い切った東京大学の大橋弘忠教授を挙げ』、『経歴をみると、東大の前の勤務先は東京電力だ。東大工学系研究科へは東電から「寄付口座」の名目で、10年間で約5億円が流れている。
 安全説を繰り返す東大の放射線科医も、その背景を見ればつじつまが合う。』
(P-41)
 と、著者は指摘する。
 ほかにも、『福島県民に向かって、「ポジティブにしていれば放射能の影響は出ません」と繰り返したことで有名になった、長崎大学の山下俊一教授』の例を挙げている。(引用省略-是非、本書でその《むちゃくちゃぶり》を確認してください)

 
 《隠ぺい》に加えて国民を欺くのは、中立・公正と思われている国際機関だ。

【ノーベル平和賞を受賞した国際機関IAEAは原発推進】では、
『憲章が定めているIAEAの任務は、(中略)言い換えれば、原発推進、放射線利用の促進、核拡散阻止のための査察の3分野だ。(中略)核軍縮・核廃絶とは全く無縁、しかも主目的は原発推進である』(「IAEAの本質を知らない日本人」のサイト)の記事を引用している。

 さらに、
【WHOがチェルノブイリの被ばくを過小評価するわけ】で、世界の健康問題に公正とりくんでいると思われているWHOの秘密を明らかにする。

『「1959年にIAEAとの間で、ある契約を交わしたからです。WHOが今後一切、IAEAの承諾なしに〈放射線にかかわる健康被害〉を扱えないという内容です。さらに、資金の出所が変わったことも、これに拍車をかけました」』(P-52)と、明らかにする。
 資金の出所については、直後の文章に記載がある。
『WHOの運営資金は加盟国政府からの拠出金でまかなわれることになっているが、ここ10年で民間企業からの助成金が急速に拡大し、今では国連予算の倍の資金を私企業から受け取っている。
 巨大化した資本の力に、学問だけでなく、国際機関でさえ飲み込まれつつあるのだ。』
と。

【(風評被害防止)という大義名分の下、政府がネットを監視する】(P-56以降)
 アメリカの『愛国者法』については《プロローグ》の記事で紹介したが、それとウリ2つの“サイバー刑法”がH23年6月17日に参議院で可決成立した事実は多くの日本人は知らない。(P-60)

【「復興特区」の名の下に市場化されつくしたニューオーリンズ】
 今回の震災で、石巻や女川港、気仙沼といった全国有数の漁港を抱える宮城県が、漁業で壊滅的な打撃を受け、その再建が課題となる中、宮城県知事が「宮城を『漁業特区』として再生したい」と表明したときは、唖然とした。いったい何を考えているのだろうと。
 「TPP」への交渉参加を突然表明した野田総理大臣の動きも不可解で-とんでもないアホなのか、あるいは大企業の忠実な番犬なのか-理解不能なのだが、
『「3・11以後の日本は、カトリーナ後のルイジアナを思わせる。・・・(略)・・過激な市場化が一気に導入される危険があるからだ。市場化の“実験場”にされたニューオリンズの二の舞にだけはなってほしくない」』と、インタビュアー(ハワード)の声を紹介して、ナオミ・クラインの著書『ショック・ドクトリン』の手法に似ていることを指摘していることなど、宮城県知事は知っているのだろうか。

 『ハワードの懸念は現実になった。
 2011年10月28日。日本政府は東日本大震災の被災地を「復興特区」に認定、被災地の農地や漁業権、住宅などを、外資を含む大資本に開放し、金融、財政、税制などの全分野にわたる規制緩和の特例措置を入れた法案を閣議決定した。(後略)』



【TPPでも政府は嘘をつく】
 そして、『TPP』。こんな売国的な条約に参加するという、首相の気が知れない。

『政府が外資の導入に対し国民を守るという責任を放棄してくれるだけでなく、自分たちの利益を損なう規制に関しては、その国を相手に訴訟を起こす権利(ISD条項)までついてくるのだ。』(P-69)

『「〈グローバル化〉〈国際競争力〉という耳障りがいい言葉の下で、私たちは思考停止していた・・・モノがびっくりするほど安く買えることに夢中になって、気がついた時には失業率は跳ね上がり、賃金は海外労働者の出現で下がり、手に取るもの全てが海外産になっていたのです」』(P-78)
 というアメリカ人へのインタビューの返答は、日本の今の現実そのものではないだろうか。

 韓国では、現在『TPP』に参加する意向を表明していないが、そのはず、アメリカとの2国間で結ばれた『FTP』『TPP』を先取りしているのだ。その影響について記述があるが((P-83~P-86)、反体制派の一人であるウ・ソンギョン政策室長が語ったという、次の言葉が印象的だ。

 『電気、ガス、水、鉄道、教育、医療、年金、食、刑務所、・・・・。公共サービスが外資に売られ、福祉が存在しなくなった社会を国家と呼べるのか』と。(P-86)

  
                                                   【つづく】




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1 コメント

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Unknown (やぶい)
2012-03-23 15:59:22
月1日堤未果先生の思いを語る会
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色平哲郎先生の日経メディカルブログの「医のふるさと」
「アメリカの『失われた10年』が私たちに警告すること」
http://ux.nu/uvwxg

ドイツの取材の原子力村
ドイツZDF フクシマのうそ
http://ux.nu/N5juJ
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