【2015年7月30日 】 記
《新自由主義》と《グローバリズム》が席巻する中、《格差と貧困の先進国》であるアメリカの現在の姿を追った堤未果さんによるレポートは『ルポ・貧困大国アメリカ』から始まって、私が読んだ著作は本作で5冊目になる。(その間に、《アメリカ》関係以外で『政府は必ずウソをつく』と『社会の真実の見つけ方』もあって読んでいるから、主だった堤さんの著作はだいたい読んでいることになる。)
最初の、2008年刊行『ルポ・貧困大国アメリカ』との出会いは衝撃的だった。格差と貧困という問題意識は持っていたつもりだったが、こういう形の《貧困》が、自由主義を謳歌するアメリカで実際に進行しているという現実に、目を開かされた。
2010年の『ルポ 貧困大国アメリカⅡ』では、住宅ローンと並んで、新たに学資ローンと、高騰する医療費が庶民をローン地獄に陥れている現状が紹介されていた。そんな中で《民営化》された刑務所が《新たな役割》を果たしていることも述べられていた。
2013年、3冊目の『(株)貧困大国アメリカ』は岩波書店から出された一連の『貧困大国アメリカ』シリーズの完結編になっていて、この本で《モンサント》や《GMO》のことを初めて知った。
4冊目の『沈みゆく大国アメリカ』から出版社が集英社に変わり、《焼き直し》の内容かとしばらく敬遠していたが、読んでみたらそんなことはなく、新たなレポートが展開されていた。
今回の本『沈みゆく大国アメリカ《逃げ切れ!日本の医療》』もまた、衝撃的内容であると同時に、希望の出口もさし示されている。
以下、過去のブログ同様、前作と共に内容を紹介しておく。
○ ○ ○
『沈みゆく大陸』(4作目)
【目次】
■はじめに 父の遺言 (クリックして「はじめに」を読む)
■序章 「1%の超・富裕層」たちの新たなゲーム
■第一章 ついに無保険者が保険に入れた!
■第二章 アメリカから医師が消える
■第三章 リーマンショックからオバマケアへ
■第四章 次のターゲットは日本
【内容】
史上最強の超大国をもゲーム上のコマとしてしまう「1%の超・富裕層」は、これまでに、
石油、農業、食、教育、金融の領域で、巨万の富を蓄積してきた。恐るべきことに、彼ら
の次のターゲットは、人類の生存と幸福に直結する「医療」の分野だった。
米国の医療費は総額2.8兆ドル(200兆円)。 製薬会社と保険会社、そしてウォール街が
結託する「医産複合体」は、病気を抱えるもっとも弱い立場の人々をカモに、日々、天文
学的な収益を上げつづけている。
「がん治療薬は自己負担、安楽死薬なら保険適用」
「自己破産理由のトップは医療費」
「夢から覚めたら保険料が二倍に」
「一粒10万円の薬」
「高齢者医療費は三分の一にカット」
「自殺率トップは医師」
「手厚く治療すると罰金、やらずに死ねば遺族から訴訟」
「安い早い! ウォルマートがあなたの主治医になります」
これらはフィクションではない、これは超大国で進行中の現実の事態なのだ。
そして、その巨大な波は、太平洋を越えて日本に達しようとしている――!!
稀代のアメリカ・ウォッチャーである著者が、完全崩壊した米国医療の実態とその背景を
入念な取材により炙り出した、渾身のノンフィクション!
『沈みゆく大陸《逃げ切れ!日本の医療》』(5作目)
【目次】
序章 「臨終」の格差
第一章 オバマもびっくり! こんなにアメリカ化していた日本医療
第二章 ㈱アメリカに学ぶ、大衆のだまし方
第三章 マネーゲームから逃げ出すアメリカ人
第四章 逃げ切れ! 日本
【主な内容】
・「世界最速で高齢化する日本は、投資家たちのドリームランド」
・「ヒトラーのやり方に学べ〜経済財政諮問会議」
・「超高速な新薬承認のウラ」
・「国民皆保険は邪魔だからなくせ!(by アメリカ)」
・「TPPより怖いTiSAって何?」
・「お年寄りは早く死んでね(後期高齢者医療制度)」
・「給料安くて介護職員が辞める? じゃあ外国人で!」
・「高齢化が医療を破綻させるは、ウソ? ホント?」
・「何が医療費を押し上げているのか?」
・「医師は足りている? 余っている?」
・「給食で医療費を下げる!」
・「国の責任転嫁を逆手にとろう」
・「総理、医療を成長産業にしましょう!」
(【集英社「沈みゆく大国」特別ホームページ】より抜粋 )
『集英社「沈みゆく大国」特別ホームページ』
『TPPと医療保険との関係』のマイブログへジャンプ
『ルポ・貧困大国アメリカ』のマイブログへ
『ルポ 貧困大国アメリカⅡ』のマイブログへ
『(株)貧困大国アメリカ』のマイブログへ
【4冊目の『沈みゆく大国 アメリカ』もこの4月に読み終えたが、ブログを書く時間が取れずに放ってある。】