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【 2015年6月20日 】 京都 T-ジョイシネマ
予告編を見れば、だいたいのストーリが浮かんでしまうような内容だったが、監督が、『がんばっていきまっしょい!』の磯村一路というから、ある期待を持って出かけた。
それと、何といっても今、戦後日本の進む道を左右する、大きな岐路に差し掛かっているときである。安倍首相は憲法を大きく歪めて、日本をアメリカの手下にして、日本国民を戦場に駆り立てようとしている。憲法の上に《政権の意図》=自らの野望を置こうとしている、そういう時節だ。
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で、映画の方は、今まで見てきた《よくあるシーン》の連続で、一般的で類型的であるから、何か物足りないものを感じてしまうが、より若い、戦争体験から遠い世代には、どのように映るのだろうかと考える。
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やはり自分だけわかっているのではなく、多くの次の世代に、戦争体験を根気よく伝えないといけないのかな、と思う。
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この映画を見て思い出すのは、木下恵介の『陸軍』である。こちらの映画は戦中に作られたもので《戦争を批判する》ようなメッセージを映画の中に入れるようなことのできない時代の物である。
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今は木下が、『陸軍』を作った時と違って、まだ《自由に》ものが言える。しかし、一方では、マスコミやジャーナリズムへの政府権力の圧力は日増しに強まっている。
まさにそういう今、東宝が『戦後70年記念作品』として作り、【2015年初夏、日本中の“おかあさん”に捧げ】、「2度と戦場に子供を送らない」との《メッセージ》を世の中に誓う映画なら拍手を贈る。
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ただ、《大ヒット上映中!》というキャッチコピーは、ちょっといただけない。
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映画が終わり、照明がつき、場内を見渡すと、私も含めた《戦後派》と思われる人の数は少なく、本当にあの戦争のころの時代背景を知ってほしい《若者》は、数人しか見当たらなかったのは残念である。
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『おかあさんの木』-公式サイト
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