【2011年9月4日】 京都みなみ会館
『陰謀の代償』に『N.Y.コンフィデンシャル』というサブタイトルがついていたのと、アル・パチーノが出ているというので観にいく。
まあ、それなりの出来で、悪くは無いが、あの『L.A.コンフィデンシャル』と比べてしまうと、描いている時代背景、隠匿している《秘密》のスケール、腐敗の規模とそれを暴く側の動機と迫力の強さ、《悪役》の役割と現実の政治の世界との癒着のリアルさ、取り巻き連中の人物の描写の豊かさ、それと映画には実際に欠かせない女性の存在。どれをとっても『L.A.~』には及ばない。
それとなんといっても、後味のよさの違いだ。ハッピー・エンドであるなしにかかわらず、心にストンと落ちるものが無いといけない。
その点、アル・パチーノ演じるスタンフォード刑事がマサーズ警部と一緒になって警察の腐を隠そうとするのか、その動機が釈然としない。
『L.A.』が社会全体の構造上の問題を取り上げたのに対し、『N.Y.』は過去の個人的な問題をめぐる葛藤の範囲を出ていないような気がする。
それだけ、スケールが違うということだ。
『陰謀の代償』というタイトルがいけない。説明的過ぎるのだ。原題は『 The Son of Nodody 』でこっちのほうが洒落ている。
『陰謀の代償-N.Y.コンフィデンシャル』-オフィシャルサイト