【2011年7月23日(土曜)】 山行・第二日目(前半)
前日は早めに寝てしまったので、意識することもなく夜明け前に自然に目が覚める。あたりももう大半の人が起きている。お目当ては、日本第2の高峰・北岳の『肩』から見る『御来光』であるが、望みの高い人は北岳の頂上まで行って、日の出を待つようである。私らにはそんな根性も無いし、《日の出を拝む》ことに格別ここだわっているわけではないので、小屋から備え付けの「つっかけ」で数十歩進めば見ることのできる『肩の小屋』前で充分である。
午前5時からの朝食をほったらかして外に出る。外は日の出前だがもう明るく、宿泊者の大半が、すでにカメラを構えて東の方向を眺め待機している。
午前5時4分、かすかな閃光が走り、太陽があがってくる。周囲で歓声が上がる。
しばし自然の織り成す光の芸術に見とれる。左には、『甲斐駒ケ岳』とそのむこうに『鋸岳』のシルエットが浮かぶ。右に目を移せば、厚い雲の上から頭だけを出した富士山が望める。
振り返ると、北岳の頂上斜面に朝日があたり、赤く輝き始めた。太陽の方を向く人々の顔も朝日に輝いている。
【北岳『肩の小屋』の前で、遠くに富士山が見える】
ひと通り撮影を終えた人が、朝食をとりに小屋の中に戻って行く。朝食をとらずに早立ちした人もいるので、二巡目を待たず、自分らも朝食を済ます。
午前6時、北岳頂上を目指し、出発する。頂上までの標高差は200メートル弱である。
今日の予定は、北岳を超え間ノ岳にいたり、そこから農鳥岳への道はとらず、右に折れて三峰岳に向かい、第2日目の宿泊地・熊ノ平小屋までである。途中2時間休んでも午後3時には着く予定の、余裕ある行程の日である。
【 北岳から間ノ岳をへて熊ノ平小屋へのルート 】
南アルプスもこの高度になって、ようやく樹林帯を離れ、高山らしい岩だらけの風景になっていくる。しかし、北アルプスの穂高連峰や剣岳と違って転落・滑落するような場所はない。その点、スリルが無い分、物足りない面がある。
【北岳への登り】
【 登りの途中から『肩の小屋』を振り返る 】
30分足らず登ると、いよいよ北岳の頂上が見えてきた。こちらから見る『北岳』は台形状で頂はかなり広そうである。そこにたくさんの人影が見える。
【 間近かに迫った『北岳頂上』-多くの人影が見える 】
左に回り込んで岩場を進み、頂上にでる。7時10分、頂上到着。大勢の人でにぎわっている。
【 頂上に到着-標高3193m 日本第2の高峰 】
空は快晴。三十数年ぶりの北岳である。
【つづく】