この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

『新しい戦前-この国の”今いま”を読み解く』(朝日新書・2023年刊、白井聡・内田樹の二人の対談)を読む

2023-11-10 14:33:04 | 最近読んだ本・感想

   【 2023年11月3日 記 】

 一気に読んでしまった。めちゃめちゃ面白い!

 「徹子の部屋」でタモリさんが、岸田大軍拡の今の世情を《新しい戦前》と評して、それが流行語になっている。戦後の平和ボケに埋没している市民に対し「もうとっくに戦後は終わっている」という警鐘の意を込めた言葉だ。しかし、この本では【新しい戦前】どころか、すでに【新しい戦中】に入っているのではないかと提言する。

 ウクライナでは終わりの見えない戦争が続いているし、今度はパレスチナの地で凄惨な殺し合いが始まった。「即時停戦」「戦争止めろ」の声が世界中に広がり各地でデモ・集会が行われ、数万の市民が街頭を埋め尽くす映像が流されるが、日本はおとなしいというか静かなものである。何がフランスやその他の海外の国と何が違うのか!

 この本の圧巻は第一章だ。日本でのさしせまった検討課題は《台湾有事》と北朝鮮のミサイル実験に反応した敵基地攻撃能力保持を巡る大軍拡問題である。
 日本の政治家の意識の現状と、アメリカ政府や軍部が考えている事との乖離が事例をもとに示される。同時に「戦争できる国」になろうとしていることに対する大多数の国民の無関心な現状の分析である。
 現状、米中は互いに最大の貿易相手国なので米中が戦争を起こすことは非現実的である。

『中国軍が台湾を武力攻撃した場合、アメリカが台湾を守るかわからない。見捨てるという可能性もある。』

『日本の米軍基地が攻撃された場合はそうはいきません。・・・中国との全面戦争に踏み切るかどうか・・・。』


『今のアメリカにとって、対中国の最も合理的な解は「できるだけ譲歩して中国をなだめる」と言う者になる。』


『日本が偶発的に戦争を初めてもアメリカに類が及ばないためには・・「日本列島から米軍基地を撤収すること」です。』


『岸田政権に軍事予算を上げさせて、大量の兵器を買い込ませ、西南諸島に防衛線を築かせているのはアメリカの退却プランの一部ではないかと。』

『アメリカのいう事を聞いてさえいれば自民党の長期政権は保証される』
 田中角栄、鳩山由紀夫、小沢一郎らが《アメリカという虎の尾を踏んだ》ことで失脚させせられたことが書かれている。


『僕たち戦後生まれは誰一人「主権国家の国民」出会った経験がない。』

 こうしてみると、辺野古への基地移転とそれに伴う軟弱地盤の海の埋め立て、石垣や宮古島のミサイル基地化は何と無駄で無意味で無謀なことをしていると思わざるを得ない。


     【 未完成原稿 】







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