「Yakkoだより」

お菓子のこと、わんこのこと、おいしいもの、そして今日のハッピーを書き綴ります。

「パリのおばあさんの物語」

2009-06-05 13:30:04 | 
以前から、気になっていた絵本です。

「パリのおばあさんの物語」

訳者は、女優であり、エッセイストの岸惠子さん。

絵本は、めったに買うことはなかったのですが、これは、どうしても読んでみたくて、アマゾンで注文しました。


                  

                  



主人公は、パリに住むおばあさん。

本の帯にイラストが描いてあるんですけど、フランスには、こんな↓おばあさんがいるんですよね~

これを見て、思わず「いるいる!」と、思ってしまいましたもん。



                  


背中も曲がって、体もちっちゃくなって、ゆっくりゆっくりとしか歩けないのだけど、素敵にオシャレして歩いているの。

時には、お友達か、ご姉妹と思われるおばあさん同志が、腕を組んで歩いていたり・・・。

人生をやりきってきた歴史を感じさせてくれるおばあさんたち。

私は、フランスで、そんなおばあさんたちに会い、勇気をいっぱいいただきました。

こんなふうに、年を重ねたい!って。



この絵本は、そんなストーリー。


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マルシェに行っても、たくさんは買えないの。

なぜなら、重くて、持てないから。

歩く時も、一歩足を前に出し、次の一歩を出すのがたいへんなの。

お金を払う時もたいへん。

コインを見分けるだけでもたいへんなんだもの。

鍵を失くすのが、とても怖いの。

やっと、見つけても、鍵穴に入れるのもたいへん。

薬を飲むのを忘れます。

メガネは、どこにいったかしら?

指輪は?

あら、はさみも・・?

ものごと、みんなこんがらがります。

お医者様に行くのは、今週だったかしら?

それとも、来週?



・・・そんなおばあさん。

でも、おばあさんは、思う。

大好きだった山へも海へも行けない。

でも、嘆かない。

「靴底が減らなくていいわ」と、思う。

大好きだった玉ねぎとニンニクを炒めた料理も食べられない。

でも、「良かった。もう、玉ねぎを切って、目を泣き腫らすこともなくなったわ」と、思う。

「やりたいこと全部ができないのなら、できることだけでもやっていくことだわ」

そして、しわだらけになった自分の顔を見て思う。

「千の歴史にその百倍のポエジー、そのまた千倍もの心配事や、両手に余るほどの可笑しな可笑しな冗談。それらに彩られた自分の顔に満足します」


そして、おばあさんの若かった頃の苦労も語られます。

ユダヤ人だったおばあさん一家。

ご主人は、捕虜収容所へ。

子どもたちは、遠くの修道院に預けます。

そして、おばあさんも、逃げまどいます。

そんな過去を、背負いながら、今の幸せに感謝しています。


最後に、「もう一度、若くなってみたくありませんか?」という問いに、

「いいえ」

「私にも、若い時はあったのよ。

私の分の若さは、もうもらったの。

今は、年をとるのが、私の番」


「もういちど、同じ道をたどってどうするの?

だって、わたしに用意された道は、今、通ってきたこの道ひとつなのよ」

あなたは、どう思うかしら?

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これが、最後の言葉です。



老いていくことの自然さを、感じさせてくれる本だと思います。

諦めるのでもなく、逆らうのでもない「自然さ」は、すべてを受け入れる素直さと、いつでも前向きに考える姿勢、柔軟なジョーク、そして、孤独を受け入れる忍耐強さがあってこそ。

私も、パリのおばあさんを見習って、日本のおばあさんになろうと思います。