いわき市のおやじ日記

K流釣り、K馬、そして麺食いおやじのブログ。
山登り、読書、映画、陶芸、書道など、好きなことはいろいろです。

「1ミリの後悔もない、はずがない」

2021年07月30日 | エッセイ

小学6年生の時、仲間内でやったクリスマスパーティーの中で、好きだった女の子に「好きな人は誰?」って聞かれて、恥ずかしさゆえ、別の女の子の名前を答えてしまった。

好きだった女の子のびっくりした表情が忘れられない。

1ミリの後悔もない、はずがない。

 

いい歳こいたおやじだって恋愛小説は読むのだ。

しかし「女による女のためのR-18文学賞」受賞作品なんて知らないで買ったもんだから、途中「あれれ? 恋愛小説というより、官能小説か!?」なんて思った。

5つの短編からなり、それぞれが関連しあい、共通の人物が出てくる。

4つ目の「穴底の部屋」の性描写は、スポニチの20面辺りに連載されているレベル。

 

中高生の淡い恋愛に、追憶、郷愁のような切なさも感じる。

最初の「西国疾走少女」がいい。そして「千波万波」の終わり方がホロリと来る。

「日本人は貧しい、しかし高貴である」と戦前、駐日大使だったポール・クローデルは言った。

その言葉とヒロイン由井の姿が重なる。

椎名林檎さんが絶賛したらしい。

人生に疲れ気味の方におすすめ。

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「一瞬の風になれ」

2021年07月22日 | 

 

 

オリンピックが始まる前に読んでおきたかった。

短距離走者の心の動き、リレーのテクニック。それが想像できたり分かったりすると、競技が一層面白くなる。

スピード感、躍動感、そして後半の盛り上がりも素晴らしく一気読みした。

 

神奈川のあまり強くない陸上部の話。

400m(100×4)リレーのメンバーが魅力的だ。

主人公は陸上競技の経験がなく、ひたすら練習して体を鍛える。挫折を知っているから優しくて面倒見がいい。

その親友は肉体的には脆いが、淡々と走ることに集中する短距離の天才。

後輩が二人。一人は仲間の輪を乱すような問題児で生意気。でも精神的には超繊細。

もう一人はその問題児と仲が悪く、こちらも大阪弁で言いたいことをずけずけというタイプ。

個性的なメンバーが次第に心を通じ合わせ、バトンをつないで成長していく。

生徒に的確な指示を出し、共に喜んだり悲しんだりする先生、そして谷口若葉という魅力的なヒロインとの淡い恋も良かった。

こういう青春時代を送りたかったなぁと思う。

 

走る小説といえば「風が強く吹いている」と「800」も面白い。

前者は長距離で、箱根駅伝が近づくと読みたくなる。

後者は中距離。オリンピック競技前に再読しておこうかな。

 

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