ちょっと前にNHK朝イチで話題になっていました。
ブックエース・イオンモールいわき小名浜では平積みになって売り出されていました。
なぜ今?という感じですが、この本は日本ではヒットを繰り返しているそうです。氷室京介さんのアルバム「LOWERS for ALGERNON」、ユースケ・サンタマリアさん主演のテレビドラマ、山下智久さん主演テレビドラマ、けんごさんのTikTok動画などの影響があるみたいですが、小尾芙佐さんの素晴らしい翻訳も大きな理由のような気がします。
帯に「読まないまま終わる人生もあったと思うと怖いってぐらいすごかった。」というはるさんのつぶやきが紹介されていますが、私も読んで良かったと思います。
私が生まれた1959年に発表されていたんですね。もっと早く読むべきでした。30年ぐらい前にSM嬢(イニシャルです念のため)が「これ、面白いですよ」って話してくれた時に読んでいれば、今とは違う感動があったかもしれません。
ストーリーは書かない方がいいと思います。私も全く予備知識なしで読みました。
人生の後半に差し掛かっている私にとっては、主人公の生き方を、生まれてから徐々に知能、知識を獲得し、死が近づいてきてまた衰えていくという現実に重ねてしまいました。
印象に残った文章です。
知能というものはテストの点数だけではありません。 (日本語版文庫への序文より)
知識の探究に加えて、われわれは家庭でも学校でも、共感する心と言うものを教えるべきだと。われわれの子供たちに、他人の目で見、感じる心を育むように教え、他人を思いやるように導いてやるべきだと。自分たちの家族や友人ばかりではなく、ーーーそれだったらしごく容易だーーー異なる国々の、様々な種族の、宗教の、異なる知能レベルの、あらゆる老若男女の立場に自分を置いてみること。こうしたことを自分たちの子供たち、そして自分自身に教えることが、虐待行為、罪悪感、恥じる心、憎しみ、暴力を減らし、すべてのひとびとにとって、もっと住みよい世界を築く一助となるのだと思う。 (日本語版文庫への序文より)
「以前のあなたには何かがあった。よくわからないけど・・・・温かさ、素直さ、思いやり。そのためにみんながあなたを好きになって、あなたをそばにおいておきたいという気になる。そんな何か。それが今は、あなたの知性と教養のおかげで、すっかり変わってーーー」
まともな感情や分別をもっている人々が、生まれつき手足や目の不自由な連中をからかったりはしない人々が、生まれつき知能の低い人間を平気で虐待するのはまことに奇妙である。
「知能だけではなんの意味もないことを僕は学んだ。あんたがたの大学では、知能や教育や知識が、偉大な偶像になっている。でもぼくは知ったんです。あんたがたが見逃しているものを。人間的な愛情の裏打ちのない知能や教育なんてなんの値打ちもないってことをです」
「傲慢さと自己主張のいりまじったああいう態度は、不安と恐怖の度を示すよき尺度なんだということがわかるんだよ」
ひとをわらわせておけば友だちをつくるのはかんたんです。ぼくわこれから行くところで友だちをいっぱいつくるつもりです。(「ぼくわ」の「わ」は原文まま)