インドは美女、美男が多いと思う。
小麦色の健康的な肌、清楚な黒髪、大きな目と綺麗な形の鼻。スタイルの良さ。
この物語の主人公(その名もタチバナという二流作家)は、日本に留学してきた美少年の魅力にはまり、男色ではないかと自分で疑うほどになってしまう。
その美少年こそが、インドのヴァイプール王国の皇太子、ナリン殿下。
ナリン殿下と映画に行ったり、飲みに行ったりして親交を深める。
当時(第二次世界大戦前、この小説が出たのは昭和13年)、インドの宗主国はイギリス。
ナリン殿下はイギリスの駐日大使館から様々な妨害を受ける。
「日本に留学するのは許さん!留学するのならイギリスかフランスかアメリカにしなさい!!」というわけ。
理不尽でわがままな要求に反抗するも従わざるを得ない。
そして・・・・。(この後は書きません)
作者の橘外男さんはWikipediaによると、旧制中学を退学になること数度、芸妓に迷い業務上横領で実刑となかなかの人物だが、この小説にも直情径行ぶりが出ている。
そして植民地に対する共感、植民地支配に対する反感が強く窺える。
面白く、そして考えさせられる1冊だった。
ところでAmazonで「ナリン殿下への回想」で検索したら、当然古本しかなく、最低で2,500円、最高価格は70,000円だった。
しかたないので2,500円のを買ったが、その後「橘外男」で検索したらKindleで0円で出てた。
失敗失敗。
読書ノート。