そのツクダ煮会社に行ったのは初めてだったので、僕は何をしゃべってよいのか見当がつかず、とりあえずまっとうな話から始めたのだった。
「最近は部長、各社とも健康志向ってことで、減塩食品なんかを発売しているようですね。ショーユにしてもミソにしても。御社の場合、いかがですか、何かそういった傾向の商品とか・・・・」
部長はコップの底メガネの奥から僕をにらみ、それから、さとすような口調でしゃべりだした。
「あのな、あんたそういうことを言うけどな。日本人ちゅうのはな、塩でコナふいたようなシャケをな、あっついご飯の上にのっけて喰うんが一番ウマいんや。それにな、考えてみ。これからの日本ちゅうのはな、老人社会になっていくんや。ようけの老人を少数の若いモンが面倒みんといかんようになってくるんや。税金も当然たこなるわなァ。みんなそれもこれも老人が増えよるからや。そやから、そんな人はみなウチのツクダ煮喰うて・・・・」
中島らも「中島らものたまらん人々」より。
塩のことを考えるとこの話を思い出す。
高血圧、高コレステロールだが、塩は大好きで、天ぷらには塩、焼き鳥も塩、納豆にも塩である。
そして塩でコナふいたようなシャケを、アッついご飯にのっけて食べるときは得も言われぬ幸せを感じる。
だからこんなものを発見したら買わずにはいられない。
ふりかけ代わりにご飯にかけても旨そうだ。
パキスタン、ペルー、ボリビア、日本の塩が使われている。
世の中にはこんなものや
こんなものまであるようだ。
見つけたら買おうっと。