映画「PERFECT DAYS」を観ました。
役所広司演ずる平山は、押上のボロアパートで暮らしています。
毎朝近くの道路を掃く音で目が覚め、布団をたたみ、歯磨きをして髭を剃り、服を着替えて、掃除道具をたくさん積んだ車を缶コーヒーを飲みながら運転し、渋谷に向かいます。
公共トイレを掃除するのが平山の仕事です。
仕事から帰ると銭湯に行き、駅地下あたりの飲み屋で同じメニューで一杯飲る。
家に帰って本を読みながら寝落ちする。
毎日が同じように繰り返されます。
フィルムカメラで木漏れ日の写真を撮るのが趣味で、好きな音楽(これがルーリードだったり、パティ・スミスだったり、アニマルズだったりする)をカセットテープで聴くというアナログ人間。
クライマックスもなければ、オチもなく、何も起こらない映画です。平山はほとんど喋りません。ただ日常がゆっくりと流れていきます。
平山の生活は毎日同じようでちょっとずつ違う、木漏れ日の写真もみんな同じように見えてちょっとずつ違う。
少しの変化に喜怒哀楽を感じながら、あまり代わり映えしない日常を淡々と追うわけですが、これが実にいいのです。
幸せとは何か、豊かな人生とは何かを考えさせてくれます。
小津安二郎の影響を強く感じるいい映画でした。