僕と猫のブルーズ

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オトを航海(たび)する~七尾旅人「Long Voyage」再現Live@渋谷公会堂

2023年03月18日 | 七尾旅人

去年出た七尾旅人のアルバム「Long Voyage」は自分にとっては「問題作」だった。
2枚組。コロナ下の世界、貧困、差別、移民問題、生と死、様々なテーマを扱った重厚な作品。
2019年「Stray Dogs」ツアーに参加したメンバーが織り成すオトは風通しがよくPOP。
バンドサウンドに乗っかって歌う七尾クンの歌声も凄く力強く解放されている。
2枚組、重いテーマは扱っているが聴き易くてボクは繰返し聴いてる。

先週日曜日に渋公でこのアルバムを再現するLiveを開催。当然行って来ました(^^
七尾クンのLIVEを観るのは2019年「Stray Dogs」ツアー以来。
ボクは1階13列ステージを正面から見る好位置。

ステージ上でCDジャケットと同じセットが再現されていた。

予定より少し遅れて開演。七尾クンはギターと去年亡くなった兄犬の彫像を持って登場。
七尾クンは今日のLiveでMCは殆どないということで最初にメンバー紹介。
MCなし、ひたすら演奏する構成は数年前の「兵士A」を思わせる。
アルバム通りの曲順でLive開始。ステージ上で鳴ったのはトンデモないオトだった。


Liveの様子はこちらに詳細なレポがあるのでボクはLive中感じた雑感を書きます(^^;
七尾旅人が『Long Voyage Tour』を敢行中。アルバム完全再現ライブとなった東京公演をレポート!|DI:GA ONLINE|ライブ・コンサートチケット先行 DISK GARAGE(ディスクガレージ)

1曲目「流転」2曲目「Crossing」でバンドの豊かな音に笑顔になり七尾クンの声に魅了された。
2曲目「未来のこと」。傷ついた魂に優しく語りかける歌。小川翔のギターが素晴らしく震えた。
3曲目「Wonderful Life」。POPなメロディに乗っかってコロナ下で生きる人々を描く。
七尾クンは淡々とポエトリーリーディング風に語る様に歌う。
自死を考える会社員、食事代を稼ぐため身体を売ろうとする女性。腹を空かせて待つ子供。
これは決して歌の中の絵空事じゃない。現実に有った事なのだ。
4曲目「入管の歌」。入管局で起きてる移民への不当な拘束を或る家族の視点で描く。
バンドは奏でる激しいノイズに胸が苦しくなる。でも、これも現実に起きている事なのだ。
そして5曲目。前半のクライマックス「ソウルフードを君と」。
自由に走り回るバンドのオトに乗っかって歌われるのは歴史上の様々な航海。
アフリカから奴隷として連れて来られた黒人。でも奪う事が出来なかったソウル(風味、文化)。
変幻自在のオトがイキモノの様にうねり奔放に駆け巡る。そして七尾クンの歌も緩急自在。
「食料を運び続けよう ソウルを運ぶんだ」の歌詞には・・・撃たれた。
この2年、七尾クンはコロナに罹ったり貧困で苦しむ人のためにフードレスキューを続けた。
彼は正にソウル(食べ物=生きるために必要なモノ)を運ぶヒトだったのだ。
クライマックス七尾クンの絶叫に撃たれ涙が零れた。この叫びを・・・聴きたかった😢
続く「リトルガールロンリー」では家出少女の孤独で誇り高い魂を美しく歌う。惹きこまれた。
・・そうか、このアルバムの歌は全部「人」を描いてるのだ。だから優しく美しいのだ。
そのことに気づき。。また泣いた😭

Live後半。「停泊」も歴史の色んな航海を描く。描かれるは戦争、差別、排除。
2011年の東北を描いたシーン。此処は・・やっぱり胸が衝かれた。
そして「荒れ地」。歌われる2つの風景(生と死、涙と笑顔)にココロが揺れる。
七尾クンが叫び小川クンのギターも唸る。立って踊りたいのを必死にガマンした(^^;
「ドンセイグッバイ」ではアルバム同様大比良瑞希嬢が参加。美しいラブソング。
この歌で描かれる恋人たちは「未来のこと」の2人と同じ気がした。
大比良嬢と七尾クンのハーモニーが素晴らしくて、別の曲でも共演して欲しいと思った。
此処からLiveは一気に後半に向かって進む。
「Dog & Food」「パン屋の倉庫で」は明るく優しいポップチューン。
描かれるのは犬、家族の七尾クンの近しい存在。
七尾クンもバンドも活き活きと歌い奏でる。

そして最後、歌われるのは「미화(ミファ)」。自死した在日韓国人少女の歌。
七尾クンが亡くなった女性への想いを歌う。「ボクは齢を取ったよ」の声が切なく響く。
そして最後の最後「筏」。アルバム最後を締めるインスト。
豊かなバンドサウンド、そして声。長かった歌の旅も終わる。
素晴らしい時間だった。でも、旅が終わるのはやっぱり・・・寂しい😢

本編は総て終了。メンバー紹介後、七尾クンが延々と語る。
七尾クンは今日の出来に満足していない様子。何度も悔し気に語った。
「バンド善かったけどオレがダメ。ゴメン!次は絶対上手くやるから大阪か名古屋に見に来て!」
そのおかげか予定していなかったアンコールがあった!嬉しい!👏
七尾クン独りの弾語りで「ミファ」をもう1度。弾語りだと更にこの歌の優しさが伝わってくる。
七尾クン途中でマイクを外しステージの一番前に座って「ラララ」を客席と一緒に歌う!
コロナ下、声を出して歌う事に迷いがあったが七尾クンに答えたかった。
客席もラララと歌う。その客席の合唱が・・・・実に良かった。
この日、客席はひたすらステージ上の歌とオトに対峙してた。「兵士A」の時と同じだった。
「兵士A」同様、この日のLiveは歌い手と奏者と聴衆によって成り立ったのだ。
その1人としてこのLiveに参加したこと、このLiveを目撃できたことを誇りに思う。
歌いながら何度もそう想った。

Liveは此処で終わり。去る七尾クンを割れんばかりのそして優しい拍手が送った。
アルバム以外の曲の演奏はなかったけど大満足(^_^)
ヒトが歌う意味、オトを鳴らす意味、意義、色んな事を感じた素晴らしい体験でした。
そして、今日鳴った歌は総て自分以外の他者に優しい視線を向けていた。それが嬉しかった。
七尾クンは「多様性」だの「寛容」だのスローガンは言わない。
寧ろ、そういうスローガンから遠く離れた世界を歌っていると思う。
向い合うはあくまで「個」。世界を描くにしても大上段で構えず独りの命に寄り添う。
だから好きだ(自分勝手に彼の歌を解釈してスミマセン(^^)<(_ _)>)


そして、七尾クンのLiveもっと見たくなった。ツアー遠征は仕事や日程の関係上、むつかしい。
4/24に有楽町I¨M A SHOWでソロLiveある!早速申込ました。
七尾クン独りLive見るの久しぶり。今日聴けなかった曲も聴けるかな。楽しみ。

当然、七尾クンとStray Dog BandのLiveはこれからも観たい。
Stray Dog Bandの奏でるオトはCD以上に温かく血が通いそしてグルーヴがある。
元春&Hobo King Bandのグルーヴに通じるオト。
七尾旅人&Stray Dog Band×元春&ホボキンの対バン見たくなったぞ。
誰か是非企画してくれ!

↓ 我が家の猫🐱もステキな歌声を聴かせてくれます。カワイイね(^^)

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