アンパンマン列車 JR四国8000系電車
8000系電車(8000けいでんしゃ)は、四国旅客鉄道(JR四国)の直流特急形電車。
「しおかぜ」運用から撤退する2000系気動車に代わり、2016年3月26日より1編成8両が新たに「アンパンマン」の内外装となり「アンパンマン列車」(俗に言う「アンパンマン電車」)として運転を開始した。
改装されたのはL3編成とS3編成で、1号車8003の普通席はアンパンマンシートとなっている。それ以外の車両も1号車のグリーン室を除いて天井に外観と同じデザインが施されている。
1992年(平成4年)3月、予讃線観音寺駅 - 新居浜駅間が直流電化されたのをきっかけに半室グリーン車が1号車となる試作車(8001+8101+8201)が登場し、同年9月19日に臨時列車として岡山駅 - 新居浜駅間特急「しおかぜ」・高松駅 - 新居浜駅間特急「いしづち」として営業運転を開始した。
翌1993年(平成5年)3月18日改正で新居浜駅 - 伊予北条駅間の電化、これに伴う高松駅 - 松山駅 - 伊予市駅間の電化完成に合わせて量産車が登場し、「しおかぜ」の大半と「いしづち」全列車を本系列に置き換え、本格的な営業運転を開始した。試作車8001形はL1編成に組み込まれ、8101+8201形は編成を逆にして、S1編成(8201+8101+8501)となった。
これにより、従来運用されていたキハ181系やキハ185系と比べ、始発駅と終着駅との所要時間が最速列車同士の比較で20分短縮された。
車両は日立製作所・日本車輌製造で開発・製造されている。1993年当時は半室グリーン車が1号車の5両編成5本と4両編成1本(ともにL編成)に、付属編成となる3両編成(S編成)5本で、5両、4両+3両、5両+3両とバリエーションに富んだ編成になっていた。
しかし、1997年(平成9年)11月29日のダイヤ改正からは、多客時を除く昼間の電車特急はすべて多度津駅(分割併合作業場所の変更により現在は大半の列車が宇多津駅) - 松山駅間において「しおかぜ」と「いしづち」を連結した8両編成で運転することになり、車両編成を全部共通にして運用を組みやすくするため、4両だったL2編成に挿入するための1両(8300形)と、3両編成1本(S6編成)の計4両が追加製造されている。
1998年(平成10年)3月14日のダイヤ改正からは、岡山方面の所要時間短縮のため、宇多津駅構内のデルタ線を利用して編成ごと向きを転換し、半室グリーン車が8号車になっていた。2014年(平成26年)3月15日のダイヤ改正で再度方向転換が行われ、半室グリーン車が1号車となっている。これは、グリーン車を2000系気動車と同じ下り側に統一することで、利便性を向上させるためである。
主回路にはVVVFインバータ制御(GTO素子)が採用されている。試作車は電動車 (M) 2両の8個のモーターを一括制御する方式 (1C8M) だが、量産車はM車を少なくしてモーターの出力を上げ、各モーターを個別制御する方式 (1C1M) に変更された。
JR四国では2000系気動車に続き制御付自然振り子装置が採用された。振り子機構は、試作車では2000系より更に曲線での速度向上を狙いベアリングガイド式が採用されたが、量産車では2000系で実績のあるコロ式に変更された。振り子作動時の車体最大傾斜角は2000系気動車と同じ5度で、曲線半径600mで本則+30km/h、130km/h運転を可能とした。
車体の傾斜によってパンタグラフが架線から離線するのを防ぐため、車体側部を通して台車とパンタグラフ台座の間をワイヤーで結び、常にパンタグラフが真上を向く架線追従装置が装備されている[注 1]。このワイヤーは当初ビニール被膜付だったが、この被膜にワイヤーが引っかかって架線追従装置が機能しなくなるトラブルがあったため、被膜の無い物に交換された。そのパンタグラフは電動車の8150形・8200形に加え制御車の8000形・8500形にも備えられている(2010年に8500形は撤去。これについては後述)。なお、宇野線・本四備讃線では振り子を使用しない。
空調装置は2000系気動車では熱交換器が屋根上に搭載されていたが、車両の低重心化を図るために床下搭載とされた。屋根上にはガーランド形ベンチレーター(通風器)に似たカバーが付いている換気装置が8000形と試作車の8101と8201は2箇所、それ以外は3箇所設置されている。
設計最高速度を160km/hとした試作車はレールブレーキを装備して湖西線や予讃線での高速走行実験が実施され、150km/hからは600m以内で急停止できることが確認された。しかし、結局150km/hでの営業運転は行われず、量産車ではレールブレーキは採用されなかった。試作車のレールブレーキも量産車の営業運転開始までに撤去された。予讃線での高速走行実験では、160km/hを達成したとされ、8001の運転室側面に「SPEED RECORD 160km/h」のステッカーがしばらくの間貼付されていた。なお、正確には158.9km/hとされている。
全車両ともデッキは車端部に2箇所設置され、客用扉はプラグドアである。座席の前後間隔はグリーン車は1,170mm、普通車は980mmとしている。車内の仕切扉の機構は電気式で、連結器は密着連結器+電気連結器、自動放送装置は音声合成式で、LED式車内案内表示装置も備えるなど、これらは2000系を踏襲したものである。なお、速度が5km/hを超えると客用扉を開放した状態で動き出しても自動的にドアが閉まるようになっている。
5両編成のL編成6本30両と3両編成のS編成5本15両の計45両が松山運転所に配置されている。8000形および8500形が流線型先頭車、8400形および8200形が連結運転に対応した貫通型先頭車である。行先表示器、トイレと洗面所は、8000形、8150形、8400形、8200形、8500形に設置されている。8400形のみ新造時から車椅子対応座席が設置されている関係で小便所もあり洋式トイレだったが、後述するリニューアルの際に8000形、8500形も洋式トイレに変更された。8000形、8500形には車内販売準備スペースとテレホンカード専用公衆電話が設置されたが、車内販売の廃止と携帯電話の普及でいずれも撤去され、清涼飲料水の自動販売機が元車販準備スペースに設置された。
S編成では、後に8500形のパンタグラフを撤去し、8300形を編成から外した状態での運行を可能にするなどの改造が実施されている。このため、S編成が充当される「いしづち」の一部列車は、2010年(平成22年)3月13日から8往復、2012年(平成24年)3月17日から2往復が順次減車され、2両編成での運行が実施されていた(多客時は従来通り3両で運転)が、2018年(平成30年)3月17日からは全列車3両編成で運転されている。試作車であるS1編成は、ユニット構成の関係から改造が実施できず、減車運用は行われていない。そのS1編成は2018年3月31日付で廃車された。
2004年(平成16年)10月から大幅なリニューアル工事を施した車両を順次投入している。充当列車には大型時刻表などに「リニューアル車両で運転」と記載されていたが、交通新聞社発行の『JR時刻表』では、5両編成のものしか表示がなかった。2006年(平成18年)11月に全車両のリニューアル工事が完了し、時刻表などの「リニューアル車両で運転」の記載もなくなっている。
工事内容は、グリーン車・普通車指定席のみであるが、「S-Seat」と呼ばれるより上質な難燃木材製座席への取替え、パソコンテーブルや車両の最前部のみであるがコンセントの設置、S編成は全車両禁煙化により喫煙室を1箇所設置(2011年3月廃止)などである。なお、この工事はグリーン車、普通車指定席とも背面テーブルなど一部部品を共通化させコスト削減を図った。また、車体のドア周りの塗装を普通車指定席はオレンジ、グリーン車は赤のグラデーションとした。内装は従来のままで据え置かれた普通車自由席も、ドア周りに紺のグラデーション塗装を施し、外から視覚的に座席種別が分かりやすいように手が加えられた。このリニューアル工事を施工した編成は、2005年(平成17年)度の財団法人日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞を受賞した。
このリニューアル編成は2004年12月18日に大阪駅で展示会を開催するために臨時団体専用列車として山陽本線・東海道本線を経由して京都駅まで入線したことがある。
このときに取り外された座席の一部は、2006年の「むろと」増発に伴い、普通列車仕様に改造されていたキハ185系3000番台2両を原仕様に戻す際に転用された。
配置がL編成6本・S編成5本に対して運用はそれぞれ5本・4本なので、運用中に故障やダイヤの乱れが発生し、かつ残り各1編成が検査や故障などで使えない場合は列車運休や予備車両(主に多度津駅 - 高松駅間における2000系やキハ185系)に編成を変更することがある。他系列での運用は最高速度が本系列よりも低い(2000系は120km/h、キハ185系は110km/h)ため、遅延は避けられない。
「しおかぜ」と「いしづち」の併結列車は、多客期は一部列車を除く全編成が岡山駅発着の「しおかぜ」になり、「いしづち」は高松駅 - 宇多津駅・多度津駅間のみの分離運転になる。この一部列車にもS編成が使用される。また1998年には「南風」と「しまんと」の併結列車が、多客期に「しまんと」編成を分割せずに岡山へ直通した時に、多度津駅 - 高松駅間に代走列車として平行ダイヤを組む「しまんと」が運転されたが、この一部列車にもS編成が使用された。
JR四国8000系電車
JR四国8000系電車 特急「しおかぜ」
(1994年 / 宇多津駅)
基本情報
運用者 四国旅客鉄道
製造所 日本車輌製造
日立製作所笠戸事業所
製造年 1992年(試作車)
1993年 - 1998年(量産車)
製造数 48両
主要諸元
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
(架空電車線方式)
最高運転速度 130 km/h
設計最高速度 試作車:160 km/h
量産車:140 km/h
編成定員 L編成 : 18(グ)+263(普)=281人
S編成 : 168人(普)(リニューアル前は172人(普))
編成重量 L編成 : 183.2t
S編成 : 109.2t
試作車 : 109.6t
全長 8000形・8500形 : 22,600 mm
その他 : 21,300 mm
全幅 2,820 mm
全高 3,360 mm
車体 ステンレス
台車 制御付自然振子装置組込コイルばね+円錐積層ゴム式ボルスタレス台車(ヨーダンパ付)
試作車 : S-DT59・S-TR59
量産車 : S-DT60・S-TR60
主電動機 三相交流誘導電動機
駆動方式 TD平行カルダン駆動方式
歯車比
88:17=1:5.18(試作車)
89:16=1:5.56(量産車)
編成出力 L編成 : 200kW×8=1,600kW
S編成 : 200kW×4=800kW
試作車 : 150kW×8=1,200kW
制御方式 VVVFインバータ制御
制動装置 発電ブレーキ
電気指令式ブレーキ
直通ブレーキ
抑速ブレーキ
保安装置 ATS-SS
理由として、安心と安全なキャラクターの使用が好ましいことと、アンパンマンのアニメで「顔がぬれて力が」というシーンがかつての京急1500形電車や新1000形ステンレス車、相鉄8000系電車の事故を連想させて不吉・不適切なことと、京急沿線にはアンパンマンがきらいでセラムンやプリキュア、相鉄沿線にはアンパンマンがきらいでセラムンやアイカツ、からかい上手の高木さん、ポッピンQ、怪盗ジャンヌが好きな人が多いためです。