およそ30年、夫の介護に追われてきた83歳のイーディ(シーラ・ハンコック)は、娘から施設に
入ることを勧められていた。ある日、町の飲食店の店員の言葉をヒントに、かつて夢に描いた
スコットランドのスイルベン山に登ることを決意する。イーディは夜行列車でスコットランド
に行き、登山用品店のジョニーをトレーナーとして雇って山登りのための訓練を始める
83歳の老婦人が初めての山登りに挑戦するのを描く本作は、「そこに山があるから」とか
「人生いつも青春」という言葉が安っぽく感じられる程、自然の美しさと共にイーディのドラマ
が心の深いところに届く 文字通り体当たりで演じたシーラ・ハンコック、彼女のブルーグレイ
の瞳は時にやんちゃな少女のように輝き、新品の登山用品を選ぶ際にテンションがあがったり
反面、刻まれた深いシワが物語る辛い事が多かった人生 自分の人生を取り戻そうとする一人の
老女の真面目な努力を、これでもかと言うほど丁寧に描いている。その点に好感が持てます。が
あわや遭難という山登りの嵐の一夜も「この何十年で一番楽しかった」なんてどれだけしんどい
生活を送ってきたのか・・・戸惑いながら一歩を踏み出し、山道を這いつくばっても登って行く
頂上に立ったイーディとケルンに自分を置いた(観れば解ります)際に胸の奥からグッと来るものが
何事にも遅すぎる事はないの一言が心に染みました
山頂近くで彼女が青年に言った「こんなに幸せを感じたのは子供の時以来。あなたにはそんな人生を送って
欲しくない」という台詞が胸に刺さります ☆☆☆★
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