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一日一書 823 奥の細道 2・芭蕉

2016-03-03 20:32:27 | 一日一書

 

芭蕉

 

「奥の細道」より

 

 

千じゆと云(いふ)所にて船をあがれば

前途三千里のおもひ胸にふさがりて

幻のちまたに離別の泪(なみだ)をそゝく

 

行春(ゆくはる)や鳥啼(な)き魚の目は泪

 

 

やはり名文ですね。

「幻のちまたに離別の泪をそゝく」というのは

「この世は幻だと知っていながら、やはり別れは悲しく、

その幻のちまたに立って別れの涙を流すのだ。」ということ。

 

理屈でいえば、どうせこの世は、幻のようにはかないものだから

旅の別れなど、悲しいはずもないわけなのですが、

それでも、別れは悲しいといって、涙なんか流すのが人間だね、ということでしょう。

 

それはそれとして

「鳥啼き魚の目は泪」という表現が童話的でカワイイですね。

魚が目に涙をいっぱいためているっていうんですから。

芭蕉という人は面白い感性をもってるなあと

いつも思います。

 

 

 

 


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