夏目漱石「草枕」より
半切二分の一
越す事のならぬ世が住みにくければ、
住みにくい所をどれほどか寛容(くつろげ)て、
束の間の命を束の間でも住みよくせねばならぬ。
こゝに詩人といふ天職が出来て、畫家という使命が降る。
あらゆる藝術の士は人の世を長閑(のどか)にし
人の心を豊かにするが故に尊い。
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半紙ばかりだと、だんだん息苦しくなってきたので
ちょっと大きな紙に書いてみました。
本当は、芸術は「人の心を長閑(のどか)にする」ものなんでしょうけど
なかなかそうもいかないものです。
やっぱり今の世の中が悪いのかしれません。
けれども、いつの時代でも「世の中」は悪かったともいえます。