蕪村
淋しさに花咲きぬめり山桜
半紙
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山桜が深い山中の淋しさに耐えかねて花を咲かせているようにわたしには見える。
(「俳句の解釈と鑑賞事典」旺文社・高橋庄次)
深い山中で、緑の木々に交じって咲いている山桜の花を見ての蕪村の感慨。
「めり」という助動詞は、推量でも「のように見える」の意味の強い語。
山桜がどのような気持ちで咲いているのかはともかく、そう見えるというところに蕪村の心情があります。
ソメイヨシノは、それこそ、「これみよがし」に咲いている感がありますが
山中にひっそりと、それでも華麗に咲く山桜は、「だれも見てくれない」淋しさに耐えているのかもしれませんね。