Yoz Art Space

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一日一書 812 慾はなく・宮沢賢治

2016-02-18 19:45:51 | 一日一書

 

慾はなく決して瞋(いか)らず

 

宮沢賢治

 

かずら筆

 

 

これほど難しいことはありません。

「慾(欲)」と「瞋(怒)」がセットになっていることを

よく考えてみると面白い。

 

「仏教語大辞典」によれば

「瞋」とは、

三毒の一つ。また十悪の一つ。自分の心と違うものに対して怒りにくむこと。」とのこと。

煩悩の一つでもあるそうです。


自分が自分であることに満足せずに

常に他人と比較して、「自分と違うもの」すなわち

「自分より優れている」(と勝手に判断した)ものに対して

「怒り」「憎む」気持ち、それが「瞋」ということのようです。


「他人より優れている」ことを切実に願う心、それが「欲」なのだとしたら

「欲」と「瞋」がセットになっている意味もよく分かります。


「自分とは違うもの」に対して、むやみに批判せず

むしろ、柔軟に受け入れ、寄り添っていくこと

そのことを賢治は求めたのかもしれません。







 

 

 

 

 

 

 

 


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一日一書 811 雨ニモマケズ・宮沢賢治

2016-02-17 11:37:42 | 一日一書

 

雨ニモマケズ 風ニモマケズ

 

宮沢賢治の詩より

 

半紙2枚

 

 

 

 

ときどき書きたくなります。

今回もかずら筆で。

 

 


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一日一書 810 大象無形・老子

2016-02-16 17:54:41 | 一日一書

 

大象無形

 

老子

 

半紙

 

 

「大象(たいしょう)は無形なり」と読みます。

 

「もっとも大いなる現象は、形のないものである。」の意。

「肝心なものは目に見えないんだよ。」という

「星の王子様」の言葉にも通じるものがありますね。

 

 


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一日一書 809 前不見古人・陳子昂

2016-02-15 09:36:37 | 一日一書

 

陳子昂「登幽州臺歌」

 

半紙

 

 

   登幽州臺歌

 

前不見古人

後不見來者

念天地之悠悠

獨愴然而涕下

 

 

前に古人を見ず

後に来者を見ず

天地の悠悠たるを念(おも)い

獨(ひと)り愴然(そうぜん)として涕(なみだ)下る

 

ずっと前に生まれた人に会うことはできない。

はるか後に生まれる人に会うこともできない。

ただ天地が悠々と続いていくのを思うとき、

人の一生の短さを思い知らされ、涙が流れるのだ。

 

 

漢詩には、高い所にのぼって、自らの感慨を述べるという趣向がおおくみられます。

高い所は、日常から離れたところであり、

そこに立ったとき、おのずから自らの人生に思いを馳せることになるのでしょう。

 

「古人」にも「来者」にも会うことができず

天地の間にぽつんと取り残されたような自分の人生のはかなさ。

それを思うと、胸がいっぱいになり、涙が流れるのだった、と詩人はいうのです。

 

けれども、「古人」の書いたものを読むことで、私たちは「古人」と親しく語りあうことができ

自分がものを書き残すことで、「来者」は同じ思いで自分を思い出してくれるのもまた事実でしょう。

 

天地の間にただ一人で存在するような個人は

「言葉」によって、深く繋がりうるのです。

 

 

 

 


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一日一書 809 空山不見人・王維

2016-02-14 19:32:43 | 一日一書

 

王維「鹿柴」

 

半紙

 

 

 

鹿柴

 

空山不見人

但聞人語響

返景入深林

復照青苔上

 

空山人を見ず

但(た)だ人語(じんご)の響きを聞く

返景深林に入り

復(ま)た照らす青苔(せいたい)の上

 

 

教科書にもよく出てくる王維の詩です。

 

おおよその意味は以下のとおり。

 

シンと静まりかえった山の中は人影もない。

ただ人の言葉だけが聞こえる。

夕日の光が、深い林の中に差し込み

苔の上を照らしている。

 

 

こんなに色彩が鮮明で、しかも静寂に満ちた詩はありません。

昔から大好きな漢詩です。

 

 

 

 

 


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