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一日一書 812 慾はなく・宮沢賢治

2016-02-18 19:45:51 | 一日一書

 

慾はなく決して瞋(いか)らず

 

宮沢賢治

 

かずら筆

 

 

これほど難しいことはありません。

「慾(欲)」と「瞋(怒)」がセットになっていることを

よく考えてみると面白い。

 

「仏教語大辞典」によれば

「瞋」とは、

三毒の一つ。また十悪の一つ。自分の心と違うものに対して怒りにくむこと。」とのこと。

煩悩の一つでもあるそうです。


自分が自分であることに満足せずに

常に他人と比較して、「自分と違うもの」すなわち

「自分より優れている」(と勝手に判断した)ものに対して

「怒り」「憎む」気持ち、それが「瞋」ということのようです。


「他人より優れている」ことを切実に願う心、それが「欲」なのだとしたら

「欲」と「瞋」がセットになっている意味もよく分かります。


「自分とは違うもの」に対して、むやみに批判せず

むしろ、柔軟に受け入れ、寄り添っていくこと

そのことを賢治は求めたのかもしれません。







 

 

 

 

 

 

 

 


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