きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「王様と私」

2012年07月06日 | 紫吹淳(リカちゃん)
舞台版を見るのは染五郎(当時)&安奈版以来です。

リカちゃんはドレスがどれもよくお似合い。
歌はね、当社比では高い音が出てるかなー、って思うけど、
他の方のミュージカル歌唱と比べるとね。。。
地声と裏声の切り替えはあまり上手くいってない。

けど、芝居は良いと思うんだなあ。
自分の意志がある強気な女性なんだけど
我が儘ではないんだよね。
契約、約束を尊ぶのは
古今東西老若男女問わず当たり前のことで
履行されないからといって、
決して仕事の手は抜かない。
王様と対等に喧嘩しちゃうけど
アンナ先生の方に理があるのが見ている方にもわかるから
押しつけがましさはない。

最近の映画版(「アンナと王様」)では
西洋人の価値観の押しつけとしか思えなくて
見ていてイライラしたけど、
こちらの舞台は、最近の電話のCMじゃないけど
正しいことを正しいと言う勇気を描いているので
話はすんなり受け止められました。

リカちゃんは、メラニーの経験が生きていて
子供達に対する愛情、母性のようなものが感じられた。

王様へは、男性への愛未満だけど、
尊敬はしている。
微妙な気持ちが良く出ていました。

上様の王様は(表現としておかしいか?)
尊大ではあるけど、粗野ではない。
自分の非はなかなか認められないけれど
(だって王様だもんね)
でも、正しいことは認められる
懐の広さもちゃんとある。
皇太子、次期国王の宣言を受け入れたのも
次の時代を託せる度量があるということだよね。

大柄な二人が踊るダンスは
とても絵になりました。
会場からは手拍子が。

タプチムは平田愛咲さん。
名前の通り、とても愛らしく
歌声は澄んだ綺麗なソプラノでした。
ただ、映画などではタプチム可哀想、と見ていたけど
献上され後宮に入った身で脱走すれば
そりゃ王様も怒るよなあ、と思っちゃった。
なんだか今回は王様目線だわー。
王様の方が正しいよねー。
ごめんねー。

ルンタの藤岡君は顔の輪郭も身体もシャープになったけど
声量は豊かなままだった。

大臣役の鶴田さんはTVドラマでよく見る人。
実物を拝めて胸熱。

東京公演は7日で終了ですが
ツアーは来月半ばまで続きます。
皆さん、お身体に気を付けて頑張ってね。
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「さらば復讐の狼たちよ」

2012年07月06日 | 映画
*これから見る方へ。
 この作品は「挽歌」系じゃありません。
 荒唐無稽の無国籍映画系です。
 前者を期待してはいけません。


県知事の地位を金で買ったマーは赴任地へ妻と向かう。
その途中、山賊の「アバタのチャン」に襲われ、
命の代わりに県令の地位を差し出す。
任地の鵞城に、チャンは新しい県令、
マーはその書記官と偽り乗り込む。

その土地の実力者ホアンは
人身売買と阿片で財を成していた。
新しい県知事が自分に従わないのを不満に思うホアンは
部下に命じさせ、チャンの義理の息子を自殺に追い込む。

復讐を誓うチャン。
チャンvsホアンに、妻を寝取られたマーも参戦し
人々の思惑は複雑に絡み合う。


いちおう1920年代の中国が舞台だけど
かぎりなく無国籍映画。
話の最初と最後は西部劇。
山賊討伐に某洋画の音楽が使われるなど
エンターテイメント性もばっちり。
単純に進むかと思った話が複雑に2転3転し
どこに落ち着いて行くか、読めなかった。

ぶっとんだ世界であるけど、
チャンは一本、芯が通ったところがあり、
ぶれ幅が広い話を上手くまとめている。
チャンを演じるチアン・ウェンは監督もしているけど
とにかく渋い!
チャンが慕われるのがわかるし
過去も頷けるニュアンスがきちんと出ている。
(帰宅して調べたら、ドニーの関羽に告り続けてた曹操だった)
チョウ・ユンファは怪演。
ある意味香港映画の悪役の典型だけど
ハリウッド映画に出た後も
こういう役をきちんを演じてくれるのは嬉しい。
大悪党でも政治的になんたらでもなく、
「田舎の小悪党」なんだよ。
それがたまらなく似合っているのが素晴らしい!
マーを演じたグォ・ヨウはなんとなく生瀬勝久を思い出す顔立ち。
ものすごく芸達者。
右往左往する抜け目ないダメ男ぶりが見事。
その妻役はカリーナ・ラウ。
年齢を重ねても実にチャーミング!


「復讐」の発端になる話は
義理の息子が馬鹿だからな気がするし、
邦題もなんだかそぐわないけど
(「挽歌」系と思わせようとした?)
話のラストは良いかんじに決まった。
みんなが行く先は、でも、その後は・・・。
ここに「古い体制を抜け出し新しい世界に行く若者の未来は
実は閉ざされている」的な政治的なニュアンスも読み取れるんだろけど
そんな深読みをせずに、単純に娯楽作品としてみても
充分に面白いと思います。

銃を手にした民衆は恐いね。
自分の意思で手に取るまでは長いけど
その先はあっという間だった。


とある事件に対し。
チャンの仲間は、自分はそれに関わっていない、と言う。
その理由がいちいち面白い。
「俺は年を食っているが・・・」の理由には大爆笑。
そういえば仲間の中にアンディ・ラウ似の人がいたなあ。
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