Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

Maybe

2014-05-26 01:00:00 | 雪3年3部(聞けない淳の本音~流出)
およそ十年前、彼の指が鍵盤の上に置かれると、世界は色を変えた。

滑らかに続く音の洪水。聽く者を惹きつけずにはいられない、鮮やかな音の魅力ー‥。








あれから十年経った今も、彼の奏でる音には魅力が溢れていた。

隣に座る雪は目を丸くして、その音に聞き入っている。



亮は満足そうな表情で、短い曲を弾き終えた。

軽やかに鍵盤を離れる十本の指に、音の余韻がついてくるみたいだ。



雪は目をキラキラと輝かせながら、思わず身を乗り出した。

「うわっうわっ?!今の何ですか?!河村氏、今何弾いたんですかぁ?!」

「ただの即興だよ、即興」



驚く雪に対して、亮は冷静だ。自身の手を見ながらコンディションを確認する。

大丈夫、まだ自分の手は死んでいない。

「すっごい不思議‥」



雪はそう言いながら、今は沈黙している鍵盤を眺めて言った。

このピアノから先ほどのような音が紡ぎ出されるなんて、まるで魔法のようじゃないか。



一方亮は雪の賞賛を受けながらも、冷静に自分の手の状態を把握する。今日は調子が良さそうだ。

亮は雪の方に向き直り、優しい口調で彼女に話し掛けた。

「ハノンだけじゃなくて、ぼちぼち他の曲も練習してんだ」



それを聞いた雪は、何を弾いているのかと亮に尋ねた。

亮は少しもったいぶるような仕草で、「弾いてやろうか?」と彼女に問う。



目を丸くした雪に、亮は「今日暗譜が終わった楽譜があるんだ」と言った。

何ですか、と続けて問う雪に亮は、とっておきの微笑みを見せてこう言った。

「お前 "Maybe" 好きだって言ってたろ」



彼には、異国の血が入った独特の雰囲気がある。亮は、自分がモテることを自覚していた。

だから”こんな風に微笑めば女はイチコロ”、亮はそう心得ていたのだ。



加えて二人の距離は近く、それは肩が触れ合うほどだった。

至近距離での亮のイケメン攻撃を、雪は間近で食らっているのだ。



あ‥と雪が言葉に詰まった。

赤面するか俯いて照れるか‥亮はそう予測してみたが、次の瞬間雪はパアッと笑顔を浮かべた。

「ホントですか?!」



その表情はどう見ても、ただ無邪気に”Maybe”を喜んでいる顔だった。

亮は目を見開きながら、自分のイケメン攻撃が効かない相手を前にする。



そのまま暫し彼女をじっと見つめてみたが、



雪の表情は変わらない。イケメン攻撃、あえなく撃沈である。



ダメだコリャ‥。







やがて亮は、"Maybe"を弾き始めた。

いつの間にか被っていたキャップを外した雪は、彼の隣でじっと座っていた。

滑らかに動くその十本の指を見ながら、鮮やかに響くその旋律に引き込まれる。



ここが暗く埃っぽい倉庫だということを、忘れる程だった。

空間を震わせるような音の洪水を、亮の隣で雪は今、全身で感じている。



ふと彼の顔を見上げると、その表情は真剣そのものだった。

響き渡る音に包まれた彼は、いつもとはまるで別人だ。



雪は亮の姿を眺めながら、昔神童と言われたというその空気を感じ取る。

きっと高校の時もこんな風に、鮮やかな音を奏で続けて来たのだろうと。








キラキラした音の粒が、美しい旋律の上を飛ぶように跳ねている。

その音色を聴く内に、あれだけ蓄積していた疲れも取れていた。

‥いいね。素敵な週末の朝だ‥



爽やかなメロディーに、心や身体の疲れが洗い流されて行くようだった。

嬉しそうに微笑む雪の隣で、亮はその音色と空気を楽しむように弾いている。



このままずっとこんな時間が続けばいいと、そう思った時だった。

ピクッ‥!



突然、流れていた音が止まった。

いきなりの出来事に、雪は何が起こったのか分からず目を見開く。



しかし驚いているのは雪だけではなかった。

亮本人でさえ全くの予想外の出来事だったのか、そのままピアノの前で固まっている。



やがて亮はゆっくりと自身の左手を眺めた。

小さく震えている。



自分の手であって自分の手でないような、そんな自身の一部。

不自由が生じた時はいつも、自分はもう以前のような天才では無いのだと改めて思い知らされる。



亮が、小さく掠れた声を漏らした。

頬を伝う一滴の汗が、スローモーションのようにゆっくりと流れて行った。



雪の頬にも、一滴の汗が流れていた。

音の余韻にこぼれた彼の絶望が、雪にも伝わって来ているのだ。



やがて亮は、「この続きはまだ覚えてない」と言って鍵盤から手を離した。

絶望を隠しながら、ぎくしゃくした動作で首の辺りを触る。



左手の不自由さを隠すための嘘だということが、雪にはすぐ分かった。

”Maybe”は同じメロディーの繰り返しであり、新しい旋律はこの先に無いはずだから‥。



けれどそんなことを、わざわざ口に出したりはしなかった。

雪は彼の横顔を眺めながら、亮が今抱えている気持ちを慮って沈黙する。


「その後はこうですよ」



やがて雪は、そう口にしながら亮の前に身を乗り出してピアノを弾いた。

決して下手ではない腕前は、昔とったきねづかだ。

「私も高校生の時覚えたんですよ」



そう言いながら、雪は亮が詰まった先のメロディーを弾く。

「こうですよ、こう」



キャップを被っていたせいで彼女の前髪は乱れ、いつもは見えない額が見えた。

亮は「あっそ‥」と言いながら、そんなことにばかり気を取られる自分を知る。



今や、二人の腕はくっついていた。雪が身を乗り出してピアノを弾いているせいだった。

亮は自身の心が騒ぐのを感じて、自然な流れでその腕を離す。

「下手菌うつりそー」 「何ですってぇ?!」



そして二人は、すっかりいつもの雰囲気に戻った。

「それじゃあ”お箸のマーチ”は覚えてますか?一緒に弾いちゃダメですかね?」

「ったくガキくせーことしてんじゃねーよ!」

 

声を荒げながらふざけ合う二人の後ろ姿を、叔父さんは微笑ましそうに見守っていた。

いつか無料ライブを開催するのも夢じゃないかもしれない‥。






 

その後二人は、手のことには一切触れず、他愛のない話をしながらふざけ合った。

キラキラ星が弾けると言う雪と、そんな彼女に真剣さが足りないと諭す亮‥。




雪は思う。


誰しも皆、自分だけの理想郷を持っている。

時にはそこから追い出されたり、時にはそこから抜け出さないようにもがいたり。





同じ頃、清水香織は自室で一人、膝を抱えてうずくまっていた。

階下では、家族が騒々しく騒いでいる。母親の食事を知らせる声もする。

けれど香織は返事もせずに、ただひたすら同じことを何度も考えていた。

何で私が赤山雪の真似を‥?ダサいし、性格も悪いじゃない‥!



盲目的な理想郷の中に、香織はうずくまっていた。

後ろを振り返ったら全て終わってしまうと無意識の内に気付き、恐れているのだ。

もがいてももがいても、沈んで行くだけとは知らずに‥。



そして時に、今一度そこに向かって足を踏み出したりもする。




倉庫を出て行く亮の後ろ姿は、

あの夏の始まりの頃、項垂れていた彼とは随分違って見えた。



過去をなぞり、現実と向き合っている彼を見て、雪は色々と考えさせられる。


それならば、今は?





特大サイズのコーヒーを持って、勉強に向かう。

自分の進む先がこれで合っているかどうかなんて、多分到着してみないとその正否は分からない。

そんな”Maybe”を引き連れて、雪は一人前へ進む‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<Maybe>でした。

もう一度貼ります、「Maybe」




こんな素敵な曲を亮さんが‥!雪ちゃんもナイスチョイス!


そして雪ちゃんが言っていた「お箸のマーチ」



小学生くらいの時に聞いたことありますね^^

いつか二人で弾いてみてほしいw




次回は<伊吹聡美の心の内>です。

人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!

ピアノの前で

2014-05-25 01:00:00 | 雪3年3部(聞けない淳の本音~流出)
「おっ、雪。来たのかい?」



叔父の経営するカフェは午後4時オープンだが、彼は快く雪を迎えてくれた。

「叔父さん‥コーヒーを特大サイズで下さいな‥。濃い~のを沢山‥」



そう口にする雪を見て、叔父は心配そうな表情を浮かべた。

「なんか疲れてるね~。試験期間でも、そんなに沢山飲んじゃダメだよ~。

カフェインの多量摂取は体に良くないよ?」




叔父はそう言いながらも、大きな保温器にコーヒーを沢山入れてくれた。

雪が受け取ろうとすると、叔父は続けて口を開く。

「あ、亮君来てるよ」  「えっ?」



以前雪は叔父に「ピアノを捨てないで」と頼んでいた。叔父は姪の言う通りピアノをそのままにしておいたわけだが、

それからというもの亮は何度も倉庫に足を運び、ピアノの練習をしているそうだ。掃除もしてくれるんだと言って、叔父は喜んでいた。

「昔は有名だったそうだけど、上手く弾けそうならいつか無料ライブでもさせないとな。

これも全部それなりの投資ってもんだ。ふふふ‥」




隣の倉庫で、河村氏がピアノの練習をしている‥。

雪の心が、好奇心でウズウズする。




そして雪はこっそりと、倉庫に足を運んだ。

少し埃っぽい室内はそんなに広くもなく、すぐに彼の姿を見つけた。



亮はピアノの前に座っていた。

鍵盤に向き合う彼の横顔は、いつもの亮とは少し違って見える。



今にも何かを弾き出しそうな彼を見て、雪の心は躍った。

キラキラと目を輝かせながら、元天才ピアニストを前にする。



そんな好奇心ウズウズオーラを出しながら、雪は一人テンションが上がった。

気‥気になる!話には聞いてたけど、あの人が実際ピアノを弾くの見たことないもん‥!

正直想像すらしたことなかった‥。叩き壊す姿ならいざ知らず‥




そんなオーラを背後に感じ、亮は振り返らずに彼女に声を掛けた。

「ダメージヘアー、何見てやがる」



雪はヒィッと息を飲んだが、亮に向かって「見ちゃダメですか?」と恐る恐る言った。

暫し考えていた亮だが、やがて雪に向かって微笑みかける。

「フン‥見てけよ」



亮からお許しが出たので、雪は椅子を持って来て亮の隣に並んで座った。帽子のツバが当たらぬよう、後ろ向きにかぶり直す。

そんな雪の様子を、亮はじっと見つめていた。

「あ、そういえば」



ふと思いついて雪が口を開いた。亮は雪の実家の麺屋でもこの倉庫でも仕事をしているみたいだが、時間は大丈夫なのかと。

「ぜ~んぶコントロールしています



亮は自慢気に、幾分慇懃な態度で雪に接した。

雪はふぅん、と息を吐いたが、好奇心の方が勝り、亮に質問を続ける。

「あっそうだ河村氏!最近うちの大学に通ってるでしょ?!」



雪からの質問に、亮は曖昧に頷いた。オレもA大生みたいなもんよと自慢気だ。

「やっぱり!あの時のあの教授にもう一度ピアノを習うんですか?!わぁ~!

「はいはい、わ~わ~

「‥‥‥‥



どこか冷静な亮の態度に雪は膨れたが、それ以上に彼がピアノを始めたことが嬉しかった。

夏の始め頃はあんなにも、未来を悲観していた彼が‥。




雪は矢継ぎ早に質問を繰り出した。

「もうどれくらい習いました?あ、習うことなんて無いのかな?

教授はどうやって教えて下さるんですか?」




雪の質問に、亮は冷静に返答する。小さく指を動かしながら。

「まぁ‥ほとんどまだトレーニング。指定された病院通いながら‥」



亮の方を見て相槌を打っていた雪であったが、次の瞬間亮がギロリと彼女を睨んだ。

「お前がくれたハノンも弾いてんよ」



亮は以前、雪が昔使っていたハノン教本をくれたことをまだ根に持っていた。

けれど実際今のレッスンは延々ハノンということで、亮は雪に恨み節を続ける。

「お陰でと~っても上手く弾けてるぜぇ?指が容赦なく潰れそうで‥」



雪は思わず顔を青くした。てっきりベートーベンやシューベルトを弾いてるとばかり思っていたからだ。

雪は頭を掻きながら、決まり悪そうに弁解した。

「い、いやそれは私のせいじゃ‥わざとそうしたわけでも‥」



そんな雪の様子を見て、亮が意地悪そうに笑う。

申し訳ないと思うんなら社長に掛けあって給料上げてくれよ、と冗談を口にして。



雪は彼のことを見ながら、内心ビクビクしていた。

昔は上手くいってた人だろうに、今は基礎練だけなんて‥。

あの性格だし、かなりプライド傷つけられてるハズだよね‥。




雪がハノン教本を持って来ただけでこうもグチグチ言われるのだ。

その心の内はいくばくだろうかと、雪は彼を慮る。

ついついピアノ弾く所を見たいなんて言って来ちゃったけど‥



軽いノリで来てしまったことを後悔しつつ、雪は亮と肩を並べて座っていた。


しかしそんな思いも、次の瞬間吹っ飛ぶことになる。


元天才ピアニストが、遂にピアノを弾いたのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<ピアノの前で>でした。

先輩には遠回しの要求しかしない雪ちゃんの、無邪気な質問攻めの可愛さよ‥。

姉様が以前「帽子のツバを後ろに回したのは亮と雪の距離が縮まっていることの象徴」という解釈をしてらっしゃったかな?

二人の親しさが表れた回でしたよね~。

そして倉庫‥キレイになりましたね。亮さん、お掃除もお疲れ様です!


次回は<Maybe>です。



人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!

ふとした寂しさ

2014-05-24 01:00:00 | 雪3年3部(聞けない淳の本音~流出)
はっと気がついた時、雪は床で眠っていた。いつの間にか転がり落ちてしまったらしい。



起き上がろうとするも、身体中ギシギシだった。

うぅ‥こ‥腰が‥



何とかベッドの上に這い上がると、携帯を手探りで探し当て画面を見る。

それじゃ おやすみ^^



知らない内に先輩からそんなメールが届いていた。

雪は彼と自分の日課である電話も忘れて、眠りこけていたのだ‥。



寝ぼけ眼でヨダレを垂らしながら、雪は大あくびをした。

窓の外はすでに明るかったが、疲労が蓄積した身体は鉛のように重かった。





週末の始まりの朝、雪は外へ出て一人街を歩いた。

しかしその表情は暗く、床で眠ってしまったせいで身体が痛い‥。



重い身体を引き摺るようにして歩きながら、

雪はぼんやりと彼のことを考えていた。


あの後もいつも通り先輩と連絡を取り合ったけど、

結局私が聞きたい言葉は聞けなかった。話す内容はいつも近況や世間話で‥。




連絡といっても、メールや電話だけだ。その電話すら、長い時間は出来なかった。

あまり顔を合わせることも出来ないし、ほんの数日前のことなのにまるで夢の中のことみたいだ‥。



雪の頭の中に、先日彼が浮かべた笑顔が思い浮かんだ。

小さなことでもくだらないことでも、何でも話して下さいと言った時、彼は微笑んで頷いたのに‥。


けれどそれが本当に彼の為であるかということを考えた時、雪はこう思った。

私に悩みを打ち明けろと、最後まで彼に強要したくはない



”悩みを打ち明けること”が彼の望むことかどうか、雪には分かりかねた。

そして彼が”悩みを持っている”かどうかも、雪には分からなかった。

どう見ても先輩は会社や家の事などで私よりも忙しいだろうに、そんな素振りを全く見せない。

それに引き換え私は清水香織のことなんかにむずがったりして‥




脳裏に、雪が愚痴を言った時の先輩の様子が思い浮かんだ。

大変?すごく大変?どのくらい大変? ス、スイマセン‥



なんか比較すると情けなくなるというか‥。相談事自体が煩わしく感じているように見えたり‥。

人の許容量というものは、当然人によって違う。

自分がキャパオーバーだと思う容量が、彼にとってはそうでないことも然りだ。



それでも所々で、彼がストレスを感じている場面を目にしたのだ。だから雪は手を差し伸べたのだが‥。

先輩も全て話して下さいよ‥。そういうの、全部‥



けれど彼はまだ彼女の手を掴もうとせず、ただニコニコと微笑みを浮かべているだけなのだ。

彼の心の扉はほんの少ししか開いていなくて、中に居る彼に手が届かない‥。



彼は忙しく、週末だというのに会うことが出来ない。更に試験期間中で、雪も暇では無かった。

ふとした寂しさが、雪の心を襲う‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<ふとした寂しさ>でした。

区切り上かなり短い記事になってしまいすいません~~。


しかし雪ちゃん‥もうちょっと踏み込んでもいいんじゃないかな~~。

多分先輩は雪ちゃんの言葉の額面通りしか受け取ってない気がしますよ‥?

本当このカップルは見ていてもどかしいですね。思わず仲介したくなります(笑)


次回は<ピアノの前で>です。



人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!

ブログ開設1周年

2014-05-23 01:00:00 | 日記
本日5月23日、当ブログ「Trapped in me」開設一周年を迎えました~



記念で‥全然似てない絵なんて描いてみちゃったりして‥

いやもう本当いつもながら超アナログですいません‥。

お目汚し失礼致しました


ムービーは100日記念ごとに作っておりますが、一応短いものも作りました。

本当に短いので期待はされないでくださいね

雪&淳の「Kisses」です。曲が萌えですのでそこに着目をおねがいしますね~ん^^

こちらです


しかし早いもので一周年‥。

なんとか一日も休まず更新し続けることが出来ました。

これもひとえに皆様の温かなコメントと応援のお陰です。いつも本当にありがとうございます


思い起こせば去年の一月頃、日本語版Webtoonsでチートラを知りました。(確かポンテギデートの回まで更新されてました)

一ヶ月かけてどっぷりハマり、いつしか本家を見つけ、絵だけで内容が分からずヤキモキし、

「あ」も「お」も分からないハングルをノートに書き出し、翻訳機にかけ、

キテレツな直訳に首を傾げる日々が続き‥。


独学でハングルを勉強し出すと更にチートラの面白さに気付き、いてもたってもいられなくなり、

去年の5月23日、三十歳の節目の誕生日を二つ超えた日に、情熱だけでブログをスタートさせました


大学で文章を書く勉強をしていたものの、ブログを小説形式で書くなんて当然初めてで、

最初は本当どう書いていいものやら迷いました。(今最初の方の記事を見ると恥ずかしくて堪らない‥


ブログのアクセス数も最初は一日20~30人代。

話一つを全部翻訳するのに二時間~三時間、記事を一つ書くのにも同じくらいの時間が掛かるので、

毎日毎日ブログのことばかりを考える日々。

趣味でやっているにしては時間と労力の掛け過ぎだなぁと思うこともしばしばでした。


それでも少しずつ読者さんも増え、一ヶ月が経つ頃には初めてコメントがつきました。

(りんごさん、初めてあなたのコメを目にした時、私本当に嬉しかったのですよありがとう)


だんだんとコメントの数が増え、応援してもらい、徐々に気楽に雑談も出来る雰囲気になり‥。

自分だけの趣味でやっていたことや蓄えたことが、この場で皆さんと共有できているんだと、

いつしか感じられるようになりました。


いつもコメを書いて下さる常連さん達も、ロム専門の方たちも、

最初の頃コメントを下さっていたけれど残念ながらそれ以降ご無沙汰になってしまった方たちも、

皆さんが読んで下さっているから続けることが出来ました。

今日ブログ開設一周年を迎え、アクセス数は一日1200人代まで伸びました。

今までのありがとうと、これからもよろしくお願いしますを込めて。

そして何より、チートラに愛をこめて‥


長い挨拶になりました。読んでくれてありがとうです


さて作者さんのインタビューでは、本家チートラは夏が終る頃最終回を迎える予定だそうで。

それを元に計算すると、このブログがそれに追いつくのは来年初め頃になりそうな予感です。

ですのでコンスタント更新の「~周年」はこれきりになりそうな気も‥^^


でもドラマ化もされますし、最終回以降も盛り上がって行けるといいですね

色々なジャンルも取り入れて行きたいです^^

これからも頑張って参りますので、よろしくお願いいたしますっ





明日からまた通常記事です~。

<ふとした寂しさ>です。


人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!

彼女との繋がり

2014-05-22 01:00:00 | 雪3年3部(聞けない淳の本音~流出)


バァーン!と亮は、鍵盤を叩きつけるように強く弾き終えた。

心の中に不満のモヤモヤが充満し、思わずピアノをペシッと叩いて声を上げる。

「ちくしょー!!」



そんな亮の隣で、先生は満足そうに微笑んでいた。一度も止まらずに全部弾けたじゃないかと言って。

「そろそろリハビリの成果が出てくる頃かな」



先生は前向きなコメントを口にするが、亮は堪らず頭を抱えて悶絶する。もどかしくて堪らないのだ。

「あーもう!のたうち回っちまうぜ!もうハノン弾きたくねー!!」



そう言ってぐるぐる回る亮に、先生は笑顔でゲンコツを一発お見舞いした。

亮は頭に手をやりながらうずくまる。結構痛かったようだ。

「そこの椅子の蓋を開けてみなさい」



げんなりとした表情の亮が、言われた通り椅子の蓋を開ける。

するとそこには、いくつかの楽譜が入っていた。

「一つ選びなさい」



「乙女の祈り」、「~ワルツ」‥。見るからに初心者向けの楽譜だった。

「最近頑張ってるから、次のステップに進んでみようか」 



堪らず不平を鳴らしかける亮だが、先生は「嫌ならバイエルだ」とそっけなく言い放つ。

亮はくさくさした。



昔、神童と呼ばれていたのだ。シューベルトもベートーベンもお手の物、かつては超絶技巧だって弾きこなしていた。

そんな自分が、ハノンだのバイエルだの‥。亮はため息を吐きながら、しぶしぶ楽譜を手に取った。

「こんなん自慢気に弾いたところで‥一体いつまともに‥」



ブツブツと愚痴をこぼしながら楽譜を繰っていた亮だが、ふとその手が止まった。

目に止まったのは、一枚の楽譜だ。



亮の脳裏に、先日雪が口にした言葉が蘇る。

お前、好きな曲とかねーの? う~ん‥イルマの「Maybe」とか?



雪が好きだと言っていた曲‥。

亮は無言のまま、ペラペラと楽譜を捲る‥。









休憩時間になり、亮はトイレに行くために席を立った。

廊下を歩いていると、様々な楽器を持った音大生達とすれ違う。



女子学生達が、亮の方を振り返ってはヒソヒソと話をした。

「志村教授の個人的な生徒さんみたい」、「最近よく来てるよ」とどこで知ったか亮について噂する。

 

亮は彼女達の方へと振り返り、ニヤッとニヒルな笑みを浮かべて見せた。

女学生達は頬を赤らめ、キャアキャア言いながら去って行く。



若い女子達などチョロいぜと、そう思いながら亮は廊下を歩く。

頭の中に、同じ様に自分を見て頬を染める雪の姿が思い浮かんだ。

ダメージヘアー‥。あの鈍感女もドギマギしてたっけな‥



初めて会った時も、そして先日彼女に微笑みかけた時も、雪は自分を見て顔を赤らめていた‥。

そんな記憶を辿りながら、亮は得意気に息を吐いた。









トイレにて鏡を前にした亮は、改めてじっくりと自身を眺めてみた。

濡れた手で前髪を掻き上げると、端正な顔立ちが露わになる。



半分以上異国の血が入った彼。独特の雰囲気があった。

亮は水の滴る自身を見ながら、何度か角度を変えてポーズを取ってみる。

最近忘れてたけど‥イケメンだよな?



そうなのだ。自身でも忘れていたが、亮はイケメンなのだ。

それこそ高校生の時は彼女が途切れなかったし、地方で暮らしていた時も色々な女性が世話を焼いてくれた。

けど上京してからは‥しゃかりきダメージヘアの影響で、なんだかんだ巻き込まれて‥



亮の脳裏に、雪と出会ってからの自分が思い浮かんだ。

ただ中途半端に、真面目に働くフリーターになって‥



塾の講師に、食堂の店員に‥。

気がつけば、毎日同じ時間に起きて仕事に行って、真面目に働いて疲れて帰る。

そんな自分の姿を、以前の亮は望んでいなかった。飽きたら辞めて、また次の場所へと移動して‥。



深い人間関係だなんて面倒だと、

人はいつか裏切ると、あんなにも警戒していたのに‥。




亮の脳裏に、そんな自身の変化に影響を与えた場面が思い浮かぶ。



自身が求めたものを手に、突然目の前に現れた彼女。

ワイワイと騒がしい職場。家族の団欒のような、その温かさ。



飾らない笑顔。

自分の方を見て楽しそうに目を細める彼女‥。




亮はぼんやりと自身の変化について思いを馳せていた。

その場面場面には必ず、彼女の姿があった。彼女との接点は幾点にもなって、繋いでいくと幾重もの線になる。

まぁ‥それも別に悪くねぇけど‥



亮は以前は受け入れがたかった自身の変化を、寛容に受け止めている自分に気がついた。

毎日を一生懸命生きている雪と過ごす内に変化した自分が、そうさせているらしかった。

繋いだ線に名前を付けるとしたら何だろう? 

友情? 親愛? それとも‥。


心の中に刺さった、小さな刺がチクリと痛んだ。

脳裏に、先日淳と相対した際の場面が浮かぶ。


テメーの彼女が大変なことになるかもしんねーんだ!



静香が雪に攻撃を仕掛けるかもしれない、と亮が忠告した時、淳は顔色一つ変えずにこう言った。

それじゃあお前がここから離れろ。無駄に俺と雪との間に割り込むな。



腹が立った。

全部自分のせいにして、彼女のことを心配すらしない淳のことが。

そして心配になったのだ。何よりも雪のことが。




ピアノを弾きたいことがバレた時、淳は亮に向かってこうも言った。

でなきゃ、留学に行きたいか?



見せかけの親切を口にしながら、淳の瞳は語っていた。


”雪から離れろ”





亮は鏡の中の自己を見つめながら、同時に自身の内面をも真っ直ぐと見据えていた。

薄茶色の瞳の中に、複雑な感情が渦巻いている。



深い人間関係なんて面倒臭いと、その関わりを避けてきた自身。

けれど今、鏡の中の自分はハッキリとその意志を表していた。


彼女との繋がりが切れてしまうことが、何よりも嫌なのだと。


亮は険しい表情のまま、練習室に帰って行った。

それきり不満を言うこと無く、先ほど手にした楽譜を手にピアノを弾き始める‥。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<彼女との繋がり>でした。

気になったところ‥。

直訳だとここで教授が「そろそろリハビリが光を放つか」と言っており、



ここで「こいつめどこで発光するか!」



とゲンコツをゴツン。

この”光を放つ、発光する”というのが掛詞になって面白い箇所なんだと思うんですが、

こういった表現が韓国語ではあるんでしょうかね~^^? ネイティブや韓国語に詳しい方々、解説お待ちしております!


そして今回は姉様訳の”しゃかりきダメージヘアー”を使わせてもらいました!姉様、Thanxです!


アンド、最後の険しい表情の亮さん。

3部33話と3部54話の鼻の高さ検証‥。

 

どんどん鷲鼻になっていく亮さん‥。

高くなっても大きくはならないでというのは、いつかコメ欄にて繰り広げられた乙女の祈り‥。笑


<乙女の祈り>


てかこれはため息を吐くほど簡単な曲なんですか?!ピアノを全くやったことがないので分からないんですが‥。

亮さんどんだけ!


そして

明日5月23日で、当ブログ開設一周年です~

ですので通常記事はお休みで、明日はささやかながらの挨拶にさせて頂きます‥

明日、よろしければコメント残して行って下さい~


人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています~!