さて、ここまでお伝えして参りましたアゲハ幼虫3人組が、すべてサナギへの変身を終えました。
中(あたる)、太(ふとる)と見逃したその瞬間も、最後まで残った黒ミソちゃんにじっくりと見せて頂き、感動冷めやらぬ私。昆虫の不思議、生命の神秘にただただ驚嘆です。
その瞬間は、黒ミソちゃんがゆっくりと、ぶら下がった身体を上下に揺らすところから始まりました。彼(彼女?)は、その行動が始まってから30分ほどでしょうか、しばらく同じ動きを繰り返していたのですが、突如、身体を大きくうごめかせ、震わせ、身悶えるようにくねり始めました。
「いよいよだ!」と息を呑んだ私は、決定的瞬間を撮り逃すまいと一旦はカメラを構えましたが、いざそれが始まってみれば、その神秘と厳かさに目は釘付け。なんだか写真を撮るという行為そのものが、この瞬間を穢す行為のようにさえ思えてきたほどです。しかし、ここまで見ていただいた方々のためにも、これを逃すわけにはいかない。そう思い、カメラを構え直しました。レンズを覗き込んでいる間も、その時間が勿体無く思えるほどに続いてゆく神秘の行為(更衣?)。黒ミソちゃんは渾身の力を振り絞り、どんどん皮を脱いで行きます。そして...ついに薄い皮が腹側に寄りつつ尻尾まで脱ぎ捨てられようとした時、黒ミソちゃんはビクッビクッとひときわ大きく身体を震わせ、脱ぎ捨てた皮を振り落としたのです。
頭の部分が脱げ始めてから、脱皮終了までほんの数分。さっきまで芋虫の形だったのに、なぜ1枚皮を脱いだだけで形まで変わるのか!?
それはまさに生命の神秘。彼らはその短い生涯の中で、何度も形を変え、力を振り絞り、ただ、次の世代に生命をつなぐために生きるのです...。サナギになって短い眠りにつき、蝶になって飛び立てば、2週間も生きられない命。けれど、その時間の長さが何なのだろうと、しばし考えさせられた、無駄やエゴの塊、人間である私です。
きっと今、サナギの中では静かに、激しい時間が流れていることでしょう。
私は今まで、蝶になる輝きの一瞬のために、幼虫が必死に生きているのだと思っていましたが、どうやらそれは間違いだったようです。
彼らの命は、まさしく一瞬一瞬がそれぞれ輝いているのだと。
彼らだけではなく、生きている者が皆、輝く一瞬を生きているのだと、この、初めは1ミリほどの卵だった、3匹の幼虫に教えてもらったのです。
彼らが無事に飛び立つまで、儚げな、しかし丈夫な糸に支えられたサナギがゆらゆらと揺れる様を見つめながら、私は彼らにお礼を言い続けるでしょう。
人生(虫生?)の大半を、私と過ごしてくれてありがとう。
また新たな姿になって飛び立つ日がきたら、すぐに自由にしてあげるからね。
さらに輝く瞬間を夢見て、しばらくおやすみ.....。
中(あたる)、太(ふとる)と見逃したその瞬間も、最後まで残った黒ミソちゃんにじっくりと見せて頂き、感動冷めやらぬ私。昆虫の不思議、生命の神秘にただただ驚嘆です。
その瞬間は、黒ミソちゃんがゆっくりと、ぶら下がった身体を上下に揺らすところから始まりました。彼(彼女?)は、その行動が始まってから30分ほどでしょうか、しばらく同じ動きを繰り返していたのですが、突如、身体を大きくうごめかせ、震わせ、身悶えるようにくねり始めました。
「いよいよだ!」と息を呑んだ私は、決定的瞬間を撮り逃すまいと一旦はカメラを構えましたが、いざそれが始まってみれば、その神秘と厳かさに目は釘付け。なんだか写真を撮るという行為そのものが、この瞬間を穢す行為のようにさえ思えてきたほどです。しかし、ここまで見ていただいた方々のためにも、これを逃すわけにはいかない。そう思い、カメラを構え直しました。レンズを覗き込んでいる間も、その時間が勿体無く思えるほどに続いてゆく神秘の行為(更衣?)。黒ミソちゃんは渾身の力を振り絞り、どんどん皮を脱いで行きます。そして...ついに薄い皮が腹側に寄りつつ尻尾まで脱ぎ捨てられようとした時、黒ミソちゃんはビクッビクッとひときわ大きく身体を震わせ、脱ぎ捨てた皮を振り落としたのです。
頭の部分が脱げ始めてから、脱皮終了までほんの数分。さっきまで芋虫の形だったのに、なぜ1枚皮を脱いだだけで形まで変わるのか!?
それはまさに生命の神秘。彼らはその短い生涯の中で、何度も形を変え、力を振り絞り、ただ、次の世代に生命をつなぐために生きるのです...。サナギになって短い眠りにつき、蝶になって飛び立てば、2週間も生きられない命。けれど、その時間の長さが何なのだろうと、しばし考えさせられた、無駄やエゴの塊、人間である私です。
きっと今、サナギの中では静かに、激しい時間が流れていることでしょう。
私は今まで、蝶になる輝きの一瞬のために、幼虫が必死に生きているのだと思っていましたが、どうやらそれは間違いだったようです。
彼らの命は、まさしく一瞬一瞬がそれぞれ輝いているのだと。
彼らだけではなく、生きている者が皆、輝く一瞬を生きているのだと、この、初めは1ミリほどの卵だった、3匹の幼虫に教えてもらったのです。
彼らが無事に飛び立つまで、儚げな、しかし丈夫な糸に支えられたサナギがゆらゆらと揺れる様を見つめながら、私は彼らにお礼を言い続けるでしょう。
人生(虫生?)の大半を、私と過ごしてくれてありがとう。
また新たな姿になって飛び立つ日がきたら、すぐに自由にしてあげるからね。
さらに輝く瞬間を夢見て、しばらくおやすみ.....。