マチンガのノート

読書、映画の感想など  

ハンニバル・ライジング 文庫(上下):トマス・ハリス

2019-08-05 22:44:06 | 日記

本書に関しては、様々なところでかなりの人が、「読んでがっかりした」

「レクター博士が普通の人としてネタバレしていて残念だった」との

感想を述べていたが、それは自分と違う時代や境遇の人に対しての想像力が

乏しすぎるのだろう。

今とは価値観やモノの見方や捉え方などが違う世界に生まれて過酷な体験をした人が、

現在からは想像もできない育ち方をして、理解も想像もできない人格になったことを、

現在や近い過去のみを参照して、どのような人物かを想像もできないというのでは、

歴史を学んだ意味が無いのではないだろうか。

レクター少年の周りに日本の様々なものが出てくるのは、欧米から見ると、

まだまだ日本は前近代を残しているように見えるからだろう。

映画版の方が、見易く、解り易かった。


神の水 :パオロ・バチガルピ  中原尚哉/訳

2019-08-05 22:24:03 | 日記

全編、乾いた文章で、かなり残酷描写も多い。

農業地帯の地下水の水位などが実際に低下していることから着想された、

近未来SF小説。

パトリシア・コーンウェルなどは、様々な調査をして書いているようだが、

こちらはSFなので、思い切った内容になっている。

このまま米国が貧しくなっていったら、実際にあり得そうな内容だった。