本書に関しては、様々なところでかなりの人が、「読んでがっかりした」
「レクター博士が普通の人としてネタバレしていて残念だった」との
感想を述べていたが、それは自分と違う時代や境遇の人に対しての想像力が
乏しすぎるのだろう。
今とは価値観やモノの見方や捉え方などが違う世界に生まれて過酷な体験をした人が、
現在からは想像もできない育ち方をして、理解も想像もできない人格になったことを、
現在や近い過去のみを参照して、どのような人物かを想像もできないというのでは、
歴史を学んだ意味が無いのではないだろうか。
レクター少年の周りに日本の様々なものが出てくるのは、欧米から見ると、
まだまだ日本は前近代を残しているように見えるからだろう。
映画版の方が、見易く、解り易かった。