本書は、未成立な主体がどのように未成立かを描き、さらにそこから
どのように主体を生成させていくのかを、理論立てて解説していこうという大胆な試みである。
ジュリア・クリステヴァが「恐怖の権力」で主体の生成について描写しようとしたが、
当時はまだ、参照できる症例も理論も少なく、とても解りにくく描かれていた。
本書ではこれまでの様々な研究や臨床での実践を参照して、ラカン派からの
見方で理論立てて論じている。
これまで、自閉症、発達障害がいかなる見方をされて来たかを長い期間を参照して
見渡すのにも丁度いい一冊である。