母親がアルコール依存と薬物依存で貧困状態の労働者階級の家庭で育った著者の書いたものですが、
英国の政治、言論の世界では、左派は社会、経済構造が原因で労働者階級は貧しく
社会から疎外されていると主張していて、右派は貧しい労働者は学んだりちゃんと働かないから
貧しく社会の底辺にいると主張しているとの事です。
著者も長年左派の考えが正しいと思っていたとのことですが、様々な政治的なイベントに参加して
話したりしているうちに、左右両派の主張には、どちらも貧困当事者を置き去りにしているところがあると思ったため、
双方の主張に疑問を持つようになり、徐々に自分で主体的に考えるようになり、それが本書になったとの事です。
本書の副題には「イギリス最下層の怒り」とありますが、あくまでそれは導入部分であり、
本書では著者がそこから離れていき、独自の思索を巡らしていくところが書かれています。
イギリスは階級社会が長く続いており、さらに近年の緊縮政策で、左右両派の対立が深まっていますが、
著者は双方の主張に疑問を持ち、独自の思索を巡らしていくところが興味深かったです。
ポバティー・サファリ(貧困サファリ)という言葉が浮かんだきっかけとしては、
中産階級のアーティストが、1年間衰退した地方都市の、貧困地帯の中で暮らしてみて、
それによって多額の報酬の得るというプロジェクトが持ち上がった時、貧しいSNSユーザーから
バッシングを受けて、著者が討論するために会場に行くと、その善良そうなアーティストは憔悴していたので、
豊かで社会に関して無知で善良な人の、思慮を欠いた行いをバッシングすることに疑問を感じたことが
大きかったとのことです。