マチンガのノート

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ザ・スナイパー 孤高の男 監督:J.M.ベリオス 出演:スコット・ブライアー ダリン・デウィット・ヘンソン

2021-03-15 23:26:18 | 日記

あらすじ

海兵隊の狙撃兵の主人公のベア(スコット・ブライアー)とスポッターのカウボーイ

(ダリン・デウィット・ヘンソン)は、任務中に捕らえられ、拷問を受けたり、薬物を注射されます。

そのため、敵から脱出して帰国後に、カウボーイは余命三ヶ月と宣告されます。

治療法はありますが、退役軍人省の予算不足により、有効な治療を受けられません。

そのためベアは、地下格闘技の試合に出て、治療費を稼ごうとするのでした。

感想

友人のため主人公が賞金を得るために格闘技の試合に出るというのは、何かとある展開ですが、

本作では、全体的に寒々とした映像で、静かに淡々と話が進んでいきます。

格闘技のジムの事務員の若い母親が、麻薬依存になっているところなどは

現在の米国を反映した作りになっているのでしょう。

ちなみにベアは白人で、カウボーイは黒人、その奥さんは白人という設定に、

これまでの映画との違いを感じました。

近年、米軍の人たちは、戦場で戦死したり、重度の障害を負ったりすることも多いので、

外国のためにそのような負担を負わされることに、疑問や不信感を持つことは、

当然でしょう。

そのため退役軍人の人たちは、リベラルで普遍的な価値観を掲げる民主党や

リベラル派ではなく、自国第一の保守派の人を支持するのは、当然の結果でしょう。

いくらハイテク産業が、利益を上げ、寄付をしたり税金を収めていても、

世界中に軍隊を派遣していては、米国が貧しくなるのは当然の結果だと思います。

さらに、普通の庶民が貧しくなっていくと、自国第一を主張する人が増えていくのは

必然性のあることだと思いました。

有名な映画ではないのですが、地味な佳作です。

宣伝文にあるようなアクション映画ではなく、友情と自己犠牲を描いた映画でした。

この映画の日本版のポスターも、オリジナルのものと比べると、色々詰め込み過ぎで、

センスのないものになっていました。

原題:Black Bear/ Submission (2019年)

映画『ザ・スナイパー 孤高の男』予告編