マチンガのノート

読書、映画の感想など  

「人間という症候」 藤田博史

2015-10-11 01:43:24 | 日記
様々なところで引用され、主体の生成について書いてあっても、
何かと読みにくいクリステヴァの著作だが、
こちら著者は、図解しながら、アブジェクション(棄却)などから
どのように構造が生成していくかをクリステヴァより解りやすく
解説していく。
ユング派は、神話や昔話でいろいろ書いているが、こちらの方が
ドライで読み易い。
1993年に出版された本書だが、当時は臨床家が読んでも
解らなかっただろうと思う。
その基になる偶然についてだが、クリステヴァの場合、
留学先の恵まれたフランスと、ソ連に支配された貧しいブルガリアで
ユダヤ系として産まれて育つことの違いが大きかったので
主体の生成の基から考えることになったのだろう。

偶然に関わった事によりもたらされる事柄が、人により違うために、
世界の切り分け方、分節化が違うので、世界の見方、感じ方が
人によって違うのは当然というのは、似たような育ち方、暮らし方を
することの多い日本の臨床家には解りづらいのだろう。




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